「2020」に向けて必要不可欠な若い力

 今大会のボランティアの中で目立ったのが、若者たちの姿だった。彼らの多くは近隣の大学生だが、なぜ彼らは車いすバスケのボランティアに参加したのだろうか。

「2013年に、韓国のナショナルチームが大学に来て、大学や地域のチームと交流試合をしたんです。そのときにボランティアとして参加したことがきっかけで、車いすバスケが好きになりました。その縁で、今大会もボランティアに参加しました」

 こう参加の経緯を教えてくれたのは、千葉市の淑徳大学に在籍する野田優子さん。彼女の場合、過去の経験から車いすバスケの魅力を知り、現在では千葉市で行われる「長谷川良信記念・千葉市長杯争奪 車椅子バスケットボール全国選抜大会」の学生実行委員会会長を務めるまでになった。

 野田さんと同じく淑徳大学からボランティアに参加した岩佐映美さんの場合は、これまで車いすバスケとは関わりを持ったことがなかった。その中でボランティアのやりがいについてこう語る。

「今大会は海外の選手がたくさん来ています。私は英語が得意ではありませんが、選手たちに挨拶をすると返してくれるし、ニッコリ笑いかけてくれたりもする。さまざまな国の人と接する機会はなかなかないので、楽しい」

淑徳大学から参加した岩佐さん(左)と野田さん(右)。野田さんが実行委員会会長を務める「車椅子バスケットボール全国選抜大会」は、2016年3月5〜6日に千葉ポートアリーナで行われる予定だ
淑徳大学から参加した岩佐さん(左)と野田さん(右)。野田さんが実行委員会会長を務める「車椅子バスケットボール全国選抜大会」は、2016年3月5〜6日に千葉ポートアリーナで行われる予定だ

 ボランティアは、黒子の存在だ。目立つことなく業務を遂行し、トラブルの芽を事前に摘む役割が求められる。一方で、コミュニケーションを取ることで選手たちのストレスを軽減することもできる。マイナスをゼロにするだけではなく、ささやかであってもプラスを与えられることは、大会を成功させるための重要な要素といえるだろう。

 若者については、今大会では県内の高校7校と中学校1校の生徒たちもボランティアとして参加した。彼らは開会式や閉会式の司会進行、ファンファーレ演奏、ハーフタイム中のダンスや演舞などによって、大会に華を添えた。これは、千葉県が推し進める「2020ちばおもてなし隊」という活動の一環である。同県では、2020年に向けて増加が見込める訪日外国人に対して、千葉の魅力をアピールするために県内のNPO団体や中学・高校と連携し、さまざまなボランティア活動を行っている。

 参加した生徒たちからは「とてもいい経験になった」「海外の人々が見る中で日頃の活動の成果を発揮することができ、光栄に思う」といった声が聞かれた。この活動は、地域の活性化や若者たちが将来を考えるきっかけになるという点だけではなく、2020年に20歳前後になっている若年層のボランティアへの意識を高めたという点でも、2019年のラグビーワールドカップ日本大会や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにつながるものだといえるだろう。

開会式でファンファーレなどの演奏を行った千葉商業高校の生徒たち。日本らしさを伝えられる楽曲を選んで演奏を行った
開会式でファンファーレなどの演奏を行った千葉商業高校の生徒たち。日本らしさを伝えられる楽曲を選んで演奏を行った