ゴルフのパフォーマンスの重要要素

 著者には向かなかった、静の構えから入るゴルフパフォーマンス。それにはどんな支配的要素があるのか考えてまとめてみました(図1)。プレーヤーのスキルに対する支配的要素は、指導者の質やプレーヤーの身体能力なども挙げられると思います。それはそれで大切な話ですが、今回はスポーツテクノロジーが主題ですので、著者流に描いてみました。

図1 インパクト前からボールの飛行まで影響を及ぼす要因
図1 インパクト前からボールの飛行まで影響を及ぼす要因
画像出所:Cochran, A.J.「Science,Equipment Development and Standards」、Science and Golf 1990年、⼒⽯利⽣「ボールのあたりと飛び」図2、⽇本機械学会誌1992年11⽉号、宇治橋貞幸「スポーツ工学講義資料」(東京工業大学)所収
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 機械工学的な理論では、スイングはインパクト前までが重要で、その後はたとえ手を離そうが関係はない、とされます。もちろん力学的にはその通りでしょうが、フォロースルーがどんなに大事であるかを、あの厳しいコーチに筆者も徹底的に指導されましたから、インパクトで全てが終わってしまう、という説明は納得できないところがありました。

 言い換えれば、インパクト直前〔コック(手首の反り)を開放するあたり〕からは、人が意思をもって操作することはほとんどできないということでしょう。その後はクラブ・ヘッドのスペックで運動が決まり、インパクトを迎えることになりますから。インパクトの現象を、ヘッドとボールの衝突現象として捉えれば、そこには人間が介在できないという解釈もできます。

 しかし指導者やプロの現場の声を聞くと、フォロースルーもスイングを決めるのに重要であるともちろんおっしゃいます。実際のボールの軌道を決定しているのは、ゴルフヘッドのインパクトまでの動きとインパクトの状態ですが、それらに影響を及ぼしているのがフォロースルーです。理想のフォロースルーのイメージをもってスイングをすると、スイング全体の形が決まり、そのプロセスの中の一瞬にすぎないインパクトも良い状況で迎えられるのです。力学的にはインパクトが主役であっても、ゴルフプレーヤーにとっては、フォロースルー含めたスウィングが主であって、インパクトは従にすぎないということでしょうか。

 これらのニュアンスを含め、作成してみましたチャートが図1です。ゴルフのワンショットを、スイング・スイング中のインパクト・ボール弾道の3つのフェーズに分け、それぞれにおけるプレーの支配的要素を考え示したものです。これらを確認していただくことにより、ゴルフ好きの方には、ご自分の弱点や未だきちんと吟味していないポイントに気づいたり、スイング改良のヒントが見えたりしたらうれしいです、ゴルフ嫌いの方には、次元の違うたくさんの要因に支配されている奥の深い(=難しい)スポーツだということを実感していただければと思います(トライしてみようかなと思われるかも)。

参考文献
宇治橋貞幸,「スポーツ工学講義資料」,東京工業大学.
■変更履歴
・図1の引用表記を修正しました。[2018/11/12]