プロとアマチュアの間にあるもの

 プロのツアーといえば、こんなお話もありました。通常、男子プロゴルフツアーは、木・金・土・日(女子は金・土・日)曜日に行われます。その前の火・水曜日の練習ラウンドには、各メーカーが専属プロのためにツアーバスを出します。バスには、専属プロのクラブの調整を目的としてクラフトマンが乗車しており、スタート直前まで調整し続けるそうです。

 具体的には、プロのリクエストに応じて、クラブの公式規定に影響がないロフト角やライ角、シャフトとヘッドの組み立て方などを調整するのです。選手のヘッド、シャフトが数十セット分も用意されているといいます。ツアーを前にした選手の中には、全く同じスペックのクラブであっても「何かちょっと違う」と神経質な反応を示す人もいるので、選手の性格に鑑みて、ほんの少しだけ違うスペックのクラブを多数用意することもあるそうです。選手は賞金、メーカーは契約金に直接からむトーナメントツアーは、全関係者が全てを賭けて臨むのです。

 試合が一旦スタートしたら、調整は終わり。機能や性能を変更するためのシャフト交換、ロフト調整やグリップ交換は禁止になります*3。ですから試合がスタートした後は、ツアーバスもクラフトマンもいなくなります。

*3 シャフトが折れたりヘッドが割れたりしたときは、それが故意によるものでない場合に限り、ラウンド中でも交換は可能です。

 メーカーはこのツアーバス期間に、新製品の試打を専属プロ選手に依頼することがあるといいます。驚いたことに試打の結果が良好な場合、何とすぐにその新製品を翌日からのトーナメントに使用するプロがいるというのです。さすがプロ!慣れたものより、少しでも良い成績を挙げる可能性の高いクラブにチャレンジする強い精神と高い技術は、レスペクトせずにはいられません。

 その代表的なプロが、あの宮里藍選手です。私のようなアマチュアは(引き合いに出すのも失礼ですが)、初めて握ったクラブで戦うなんて、とても考えられません。アマとプロの境界線は、非常に太い。何事においてもそうかもしれませんが。川でいえばラプラタ川以上の幅があると思います。

 飛びの3要素(初速度、飛び出し角、スピン量)はプロもアマチュアも同じといわれます。しかし、クラブは基本的に、プロ用とアマ用は分けて開発されています。プロは全ての要素を最適に近い状態で打てますが、アマはそうではありません。例えば、アマではスピンがかかりすぎるので、それを抑えるようなクラブが良い、とされることがあります。また、「プロ仕様=難しい」と思われることも多く、それも開発を分ける理由の1つだそうです。