「マット」と「つき箱」のテクノロジー

 もう1つ、忘れてはいけない用具があります。アスリートが落下するマットと、ポールの支点になるつき箱です。

 以前、ポールが木製や竹製の時代にはマットはなく、アスリートは砂場に着地していました。アルミ合金製ポールになった東京五輪では、着地には「くずマット」を使いました。ポリウレタンの切れ端を入れたマットで、クッション性はあまりよくありませんでした。その後、ポールがグラスファイバー製になると、ブロック式マットへと変遷しました。マットの中に、ポリウレタンの部材を井桁構造などに組んで入れたものです。アスリートにとって危険を感じる心配がなくなり、落下姿勢が変わり、そのことが記録向上にも貢献しました。マットの大きさは、63m2と、小学校の教室とほぼ同じだそうです。

 つき箱も、木製から鉄製、ステンレス製と進化しました。木製つき箱時代は、ポールが突き抜けてつき箱が壊れてしまうことも多々ありましたが、現在はそんな心配は無用になりました。今回の取材において、工学的進化がアスリートのパフォーマンスへ直接的な影響を与え、記録の向上に貢献したと無理なく言える種目に、やっと出会えたと感じました。