A. ウレタン系舗装材

 日本における最初の全天候トラックは、ウレタン系舗装材による単一硬度ウレタン構造でした。図1のように、望ましい緩衝特性に最も近い材質のウレタンで仕上げます(図中[2]の部分)が、単一硬度であるため多様な走法やそれによる衝撃の変化に対応できる幅広い緩衝特性を持たせるのは困難でした。

図1 単一硬度ウレタン構造
図1 単一硬度ウレタン構造

 ウレタンのような粘弾性体では、同じ力で押しても、ゆっくり押せば軟らかく、速く押すと硬く感じる不思議な性質があります。この点では、金属バネのようにゆっくり押しても速く押しても硬さの感じが変わらない材料に対して、大きな違いがあります。指でゆっくりと押した時には軟らかく感じるトラックも、競技者がスパイクを激しく叩き付ける状態では硬く筋肉に強い衝撃を与え、この繰り返しが筋肉疲労の原因となることが分かってきたわけです。

 そこで、筋肉に負担を掛けずに記録を狙える全天候トラックの開発時代を迎えました。その時期に生まれた改良案の1つが、ウレタン層を2層に分け、下を軟らかく上を硬くした「多重弾性構造」です(図2の[2]の部分)。異なった硬度と異なった特性を持った弾性層の合成効果で、対応できる衝撃吸収の領域を広げました。 

図2 多重弾性構造
図2 多重弾性構造

 しかし、多重弾性構造にも弱点として、

1. 何層にも施工する手間がかかる

2. 思ったように衝撃吸収性が得られない

3. 価格が高くなる

といったものがありました。