フィリピンが示唆する東南アジアのエネルギーミックス

 今回APECの開催地となっているフィリピンは、東南アジアにおけるエネルギーミックスの縮図とも言えそうだ(図2)。現在、同国のエネルギーミックスでは水力が約20%、世界第4位のポテンシャルをうまく活用した地熱の割合が10%といずれも高いことが特徴だ。これらによって、再生可能エネルギーを合計した比率は約30%。エネルギー全体に占める再エネの割合は現時点では比較的高い。

図2 フィリピンのエネルギーミックス
図2 フィリピンのエネルギーミックス
(出典: APEC EMM12講演資料を基に日経BPクリーンテック研究所が作成)
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 2014年7月に人口が1億人を突破したとされるフィリピンでは、過去3年間の経済成長率が6~7%と比較的高い状況が続いている。これを受けて電力需要も増大の一途をたどっているが、まだ供給が追い付いていない。特に、電力系統が脆弱な地方や遠隔地では、現在でも停電の発生が珍しくないという。

 このため発電所の建設や系統網の増強が進められており、電源容量は今後5GW以上増加すると見られる。2015年6月時点で建設中の電源構成を見てみると、その75%を化石燃料で温暖化ガス排出量が最も多い石炭火力が占めている。残りの内訳は、天然ガスが15%、再エネが10%である。

 エネルギーを使う消費者と供給する事業者のいずれも、電力がどのように作られるかといった部分まで考える余裕がまだないのが現状だろう。ただ、これは従来の大規模な集中型電源や、上流から下流へと電気が伝達される系統網の構成を前提とした電力供給の場合である。小規模な分散型電源を系統網の有無によらずに導入することを考えれば、より理想的なエネルギーミックスを達成できる可能性が高くなりそうだ。

 実際に、今回のAPEC EMMでもマイクログリッドの導入について言及があった。EMMでテーマとなっている持続可能性や強靭性、地域ごとのエネルギー活用といった観点で考えると、そのいずれもマイクログリッド技術の導入によって実現できることばかりである。

 もう一つのテーマとなった民間セクターの参画については、制度設計やビジネスモデルにおける工夫がカギを握ると言えそうだ。これについては、マイクログリッドよりさらに小規模なオフグリッドに近いレベルで、系統網がまだない場所でも電気が使えるようにする取り組みの事例がアジアやアフリカで出始めている。