PR

 中国の調査会社CINNO Research社は2017年1月初旬に公表したレポートで、2016年の携帯電話用有機ELパネル世界出荷3億7000万枚のうち、Samsung Display社が供給の99%を占めたことを明らかにした。また、調査会社米IHS Markit社も2016年12月22日に公表したレポートで、同年第3四半期におけるスマホ用有機EL世界出荷1億100万枚のうち、Samsung Display社が9970万枚と圧倒的なシェアを誇ったと指摘。EverDisplay社(和輝)、TIANMA社(天馬微)、Visionox社(維信諾・昆山国顕)の中国系3社が合わせて140万枚を出荷した他、Huawei社(華為)やXiaomi社(小米科技)、ZTE社(中興)など中国のスマホ大手がEverDisplay社やTIANMA社の有機ELの採用を決めるなどの動きはあるが、Samsung Display社の支配的地位を脅かすにはなお中国のパネルメーカーは出荷規模が小さすぎると評している。

 このように、スマホに搭載する有機EL供給は現状、Samsung Display社が圧倒的な力を持っている。有機EL搭載スマホにiPhoneが加わる今年、有機ELの争奪戦はさらに激しくなることが予想される。

 中国のIT情報専門サイト『IT之家』は2016年8月25日付で、中国の業界アナリスト孫昌旭氏の話として、Samsung Display社が2017年に供給する有機ELは、韓国Samsung Electronics社とApple社が既に大半を押さえ、OPPO社(欧珀)、VIVO社(歩歩高)の中国系2社が、3割の前金を払うことで残りの分をほぼ確保してしまったと伝えている。

 2016年のスマホ世界シェアで、Samsung Electronics社は1位、Apple社は2位、OPPO社は4位、VIVO社は5位、出荷台数はSamsung Electronics社が3億台、5位のVIVO社でも7000万台だ(米Strategy Analytics社調べ)。つまり、ある程度の規模の有機ELを調達できているのは現状、1年に1億台レベルを売りさばく能力のある世界の大手中の大手のみということができる。Pixel生産停止の記事が注目を集めた背景には、「IT企業としては世界で1、2を争うあのGoogle社でさえ調達が難しいほど有機ELは品薄なのか」と興味を覚える人が多かったということなのではないか。

 スマホの世界市場ではすっかり影が薄くなってしまった日本にとっても、スマホに搭載する中小型サイズと呼ばれる有機ELの品薄は、実は人ごとではない。IT調査会社の台湾Topology Research Institute(TRI)社は2016年10月17日に公表したVR端末についてのレポートで、ソニー(Sony)の「PlayStation VR」(PS VR)をはじめとするVR端末は今後1~2年、需要が大いに期待されるものの、有機ELの供給不足が販売増の足かせになる恐れがあるとの見方を示している。iPhoneの新型が出る秋に向かって、有機ELに対する関心はますます高まっていくことだろう。