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 本稿が出る週の水曜日、すなわち2015年11月11日は、中国で近年ネット通販の日として定着しつつある「光棍節」(独身者の日)と呼ばれる日である。今年も「JD.com」(京東)、「Tmall.com」(天猫商城)などのネット通販サイトや、ラオックスを傘下に収めることで知られるSuning社(蘚寧電器)やGome社(国美電器)などの家電量販店などを中心に、1日限りの大特価セールが行われる。

 取引量も年々拡大しており、2014年はTmall.comが571億元(1元=約19円)を売り上げ、JD.comでは注文件数が1400万件と前年比2.2倍、売上高は同3倍(いずれも自社発表)になったという。家電、スマートフォン(スマホ)各社にとってもかき入れ時であり、スマホの中国Xiaomi社(小米科技)は2014年の独身者の日1日で116万台を売り上げたと公表している。2015年9月に発表したタブレット端末の新モデル「iPad Pro」について米Apple社は、同年11月発売としているだけで、本稿の執筆時点で具体的な発売日を公表していないが、市場や業界では、2015年7~9月期の売上高で前年同期比99%増と高い成長を維持する中国を意識して、Apple社が中国の独身者の日を発売日に選ぶのではないかとの観測も出ているほどである。

 さて、中国では長らく、年初の春節(旧正月)、5月初頭の労働節(メーデー)、10月の国慶節(建国記念日)の時期が家電や電子機器の3大商戦の期間と言われてきた。いずれも1週間前後の大型連休にぶつける形でセールを展開したもので、メーカーもこの3大商戦に合わせて部材調達や生産のスケジュールを組んできた。

 ところが近年、ネット通販を利用する消費者が中国でも増加したことを受け、11月11日の独身者の日の他、通販サイトが独自に実施するセールが増えている。2014年の話になるが、例えばTmall.comが同年6月18日に開催した家電の24時間セールでは、準備した100万台のスマホが完売している。中国のネットメディア『新浪科技』(2014年6月18日付)によると、100万台という数字は、中国全土で通常、1日に売れる台数とほぼ同じ。Tmall.comは1社でこの数字を叩き出したわけで、中国におけるネット通販セールの勢いをうかがい知ることができるが、ネット通販台頭のあおりを受け、3大商戦の売上が減少する傾向が見られるようになっている。

「独身者の日」の11月11日を控え、上海の地下鉄構内はTmall.com(天猫)、JD.com(京東)、1号店(米Wal-Mart社)などネット通販業者が競って広告を出していた
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「独身者の日」の11月11日を控え、上海の地下鉄構内はTmall.com(天猫)、JD.com(京東)、1号店(米Wal-Mart社)などネット通販業者が競って広告を出していた