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「人手不足」「負担」を解決

 自動洗髪機は、ほかのロボットと同じく、美容院の抱える二大問題「人手不足」「シャンプーの負担」を解決するために生まれた装置のようです。特に、美容師さんにとってシャンプー作業による腰痛と手荒れはかなりの負担らしく、20歳前後でも腰痛に悩む美容師さんや、手荒れのあまり怒りの矛先がシャンプー剤に向かってしまう美容師さんをよく見かけます。

 一方で、シャンプーは客側からすると人気メニューです。もはや定番メニューとなった「ヘッドスパ」なんて、はっきり言って要は“念入りにシャンプーしまくる”もの。その念入りなシャンプー、マッサージで“頭部の筋肉の凝りを軽減”し“毛穴汚れが落ちる”と、すっかり定着しました。

 正直なところ、“毛穴汚れが落ちる”は若干疑わしいところがあります。もちろんヘッドスパで毛穴汚れは落ちますが、実はそこまでマッサージしなくても落ちるはずなのです。“毛穴に汚れがたまる”主因は、普段の洗髪時にお湯での流しが不足していることです。前職の健康美容雑誌『日経ヘルス』編集ではカリスマ美容師から大手メーカーのシャンプー開発者、人気美容家、育毛専門家とさまざまな立場の方に取材しましたが、共通して挙げられた問題点が「多くの人はシャンプー前の予洗い、シャンプー後のすすぎが足りない」とのことでした。

 解決策は簡単!シャンプー前の予洗いとシャンプー後のすすぎとして、とにかく「3分間シャワーで流す」。もちろん、湯温は体温程度、できるだけ頭皮・髪の根元に湯が当たるように髪をかき上げながら、後頭部までムラなく全体を――と、いろいろ注意した方がいいですが。嘘だ!と思う方は一度、防水タイマーなどで3分間計って予洗いとすすぎをしてみてください。大半の方には、驚くほど長時間に感じられると思います。そして、確かにキレイになっているはずです。

 予洗いで皮脂などの毛穴汚れを落としておかないと、その後のシャンプー剤が不足して頭皮の汚れが落ちません。シャンプー剤を大量に使ったとしても、ムラになりやすく、必ずしも汚れが落ちるわけではありませんし、今度は流し残しが発生しやすくなります。

 「だったら予洗いしなくても洗えるシャンプーを開発すべきだ!」と技術者の方なら仰るに違いありませんよね。実はあるんです、某大手メーカーの「ピュアクレンジングケア」を謳う商品が“ちゃんと洗わなくても洗える”シャンプーです(商品の公式説明としてはそういった表現は一切ないのですが、発表会で開発者の方に開発の経緯を伺ったときはそう仰っていました)。ただし、ターゲットは10~20代と皮脂分泌の盛んなお若い方向けです。そうでない方では皮脂が落ちすぎて髪までパサパサになりがち……という短所があります。洗浄性の高さと洗い上がりの良さの両立は難しいのかもしれません。

 そうそう、スーッとしたスッキリ感を得られるトニックシャンプーをお使いの方も、予洗いとすすぎの徹底にご注意を。“スーッ”とするのは、メントールなどの成分により、皮膚の感覚センサー(温度感受性TRPチャネル)が活性化されるからであって、決して頭皮の毛穴につまった皮脂が取り除かれて風通りが良くなったわけではありませんよ!

 おっと、ついシャンプー方法に対する思い入れのあまり、うっかり話が脱線してしまいました。話を戻しますと、多くの人はプロのシャンプー(ヘッドスパ)によって”毛穴汚れが落ちる”点にメリットを感じています。そして、自動洗髪機は美容師側の問題を解決しつつ、さらに客側の要望である“毛穴の汚れを落とす”という機能も果たします。念入りにマッサージしなくとも、3分間シャワーで流せば毛穴汚れがほぼ落ちることからすれば、自動洗髪機による毛穴汚れを落とす能力が高いというのもうなずけます。

 こんなに多くの問題を一挙に解決してくれるのに、「手で洗ってもらう気持ちよさがない」、つまりマッサージによる凝り軽減効果が低いこと、あるいは人の手に触れられているというリラックス感がないということが原因となり、広く普及するまでには至らない様子を見せる自動洗髪機。人に触れるタイプのサービスロボットの難しさを感じます。