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朝型勤務の導入時に過去最高益を達成

 伊藤忠商事の小林氏が発表した従業員の健康対策は、深夜勤務の禁止と朝型勤務へのシフトである。伊藤忠では2013年10月に「朝型勤務制度」を導入し、午後8時から午後10時の時間外勤務を原則禁止、午後10時以降の深夜勤務を禁止とした(正式導入は2014年5月)。その代わり、始業前の午前5時から午前8時までの時間外勤務に深夜勤務と同じ割増賃金を支払い、果物やヨーグルトなどの朝食を無料で振る舞うなど、朝型勤務へのシフトを促す施策を実施している。

 伊藤忠商事を含めて総合商社には「過酷な労働環境」「残業体質」というイメージがある。実際、小林氏も伊藤忠に入社して30年ほどはそうした環境で働き続け、「残業はダメという価値観、DNAをまったく持っていなかった」(小林氏)。だが、経営トップの強力なリーダーシップのもと「夜にダラダラやるより、集中力が高まる早朝の1時間のほうがよっぽど生産性が高まる」として、朝型勤務制度がスタートした。

 制度の導入当初は「商社にそんなことができるはずがない」「お客さんから反発される」「業績が落ちるぞ」など多くの反発があった。だが、制度を導入した2013年度(2013年4月~2014年3月)、伊藤忠商事は過去最高の当期純利益3103億円を記録し、2015年度(2015年4月~2016年3月)も史上最高利益となる見通しだ。「とくに2014年から2015年にかけて、みんなの頑張りで従業員1人当たりの利益が大きく改善した」(小林氏)。

 制度導入前は、深夜残業した社員の多くがフレックスタイム制度で翌日の午前10時に出社していた。それが一般企業と同じ午前9時出社になったこともあって、心配していた取引先からの批判もまったくなかったという。「コスト削減は目的ではなかったが、結果として残業手当ては7%減、朝型勤務の割増賃金や朝食のコストを差し引いても4%減となった」(小林氏)。