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 この感覚、久しぶりでした。

 だいぶ前のことになってしまいましたけれど、2016年1月、東京・有明コロシアムで元気な企業の新年キックオフイベントに参加しました。約3000人のステークホルダーが客席を埋め、読売巨人軍(以下、ジャイアンツ)の高橋由伸・新監督がゲストで登場。そして人気シンガーソングライターの加藤ミリヤさんがライブで歌声を披露し、会場の盛り上がりは最高潮に達したのでした。

 企業が開くイベントでこんな華やかな雰囲気を最後に体験したのは、だいぶ前のことです。記者になりたての1990年代後半から10年くらいは、同じような雰囲気のイベントがときどきありました。日本のエレクトロニクス大手が元気で、IT(情報技術)バブルが起きていた時期です。

 その意味で、悪くいえばバブルのにおいがする会場だったわけですが、ワクワクするイベントでした。それは、ゲストとして現れた著名人のトークやライブが聴けたことが理由ではなく、企業の経営者が夢とビジョンを語るイベントだったからです。

自動車を超えたスポーツ産業

有明コロシアムで開催されたドームのキックオフイベントの様子。同社と契約する多くのトップアスリートも参加し、大いに盛り上がった
有明コロシアムで開催されたドームのキックオフイベントの様子。同社と契約する多くのトップアスリートも参加し、大いに盛り上がった
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 その企業は、ドーム。会社名よりも扱うブランドの方を知っている読者が多いかもしれません。米国のスポーツブランド「アンダーアーマー(Under Armour)」の日本総代理店です。

 米Under Armour社は1996年の創業以来、急成長を遂げています。2015年の売上高は前年比28%増の約39億米ドル。近い将来、ドイツAdidas社や米Nike社に匹敵する企業規模のスポーツ用品メーカーになると分析するアナリストもいます。まさに「飛ぶ鳥を落とす」という表現が当てはまる企業です。

 ドームもこの勢いそのままに創業以来、売り上げを伸ばし続けています。2014年12月に同社はジャイアンツと5年間のパートナーシップ契約を結び、今回のキックオフイベントに合わせて加藤ミリヤさんが女性のスポーツやトレーニングについて啓蒙していくサポートパートナーに就任することを発表しました。キックオフイベントは、新年の方針表明と同時に創業20周年の節目となる今年から2020年に向けた中期経営計画の方向性を語る場だったのです。

安田CEOは、イベントでスポーツの産業化について熱く語った
安田CEOは、イベントでスポーツの産業化について熱く語った
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 ドームの安田秀一CEOはイベントで「2020年にドームは、日本一のスポーツコングロマリットになる」と宣言しました。

 これは、スポーツ用品を扱う企業を超えて「スポーツで日本を改革していく」という同社の壮大な意気込みを表しています。

 5兆円前後と言われる日本のスポーツ産業の規模に対し、米国は約60兆円規模と言われ、実に10倍以上の開きがあるのが現状です。今や米国のスポーツ産業の規模は自動車産業を超えているという試算もあるほどで、日米の人口比を考慮しても、大きな差がついています。

 これは、「だって、スポーツ大国・米国の話でしょ」と諦めていい話ではありません。米国のスポーツ産業は、決して昔から今のように巨大なものだったわけではないからです。