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 正直に言うと、「ウソだろ」と思った。

 2016年3月31日に新型の電気自動車(EV)「Model 3」を発表した米Tesla Motors社(図1、関連記事1)。それからわずか1週間後の2016年4月7日、同社CEO(最高経営責任者)のElon Musk氏は、Model 3の予約台数が32万5000台を突破したことを明かした。Musk氏自身、発表前に見積もっていた予約台数に関して、「実際に受注した台数の1/4~1/2ほど。社内の誰もが、こんなに多くなると予想していなかった」とコメントしている。

図1 Tesla社が開催した新型EV「Model 3」の発表会の様子
図1 Tesla社が開催した新型EV「Model 3」の発表会の様子
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 予兆はあった。3月31日の発表に合わせてTesla社はModel 3の予約を開始しているが、購入希望者が同社の販売店の前に長い列を作ったのである。払い戻しが可能であるものの、予約に1000ドル(日本では15万円)の予約金を納める費用があるにもかかわらずだ。

 Tesla社は「2020年までに年間50万台のEVを生産する」という目標を掲げている。Model 3はその計画達成の成否を左右する重要な車両。今回の衝撃のデビューは、Tesla社にとって強烈な追い風になったのは間違いない。

 だが、手放しで喜べるほど順風満帆ではない。気になる事実がある。2003年に創業したTesla社が、これまでの13年間で生産したEVの数が12万台程度であることだ。直近の2015年は約5万台のEVを作った。Musk氏は2016年2月の決算発表会で、「(2020年には)週に1万台も作ることになる!」と笑っていたが、わずか5年で生産量を10倍に高めるのは簡単ではない。