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 アクセンチュア株式会社が2016年4月25日に開催した調査レポート「テクノロジービジョン2016」報告会に出席した。同レポートは、米Accenture社が世界11カ国・3100人以上の企業幹部およびIT担当役員への調査(実施期間は2015年10月~12月)にもとづいて、世界のテクノロジートレンドをまとめたものである。

 レポートでは、大きく5つのトレンドを定義する。AIやロボティクスが人と機械の協働作業を高度化し、生産性の向上をもたらす「Intelligent Automation」。デジタル化の要請に応える高度な労働力を臨機応変に調達する「Liquid Workforce(流体化する労働力)」。デジタルプラットフォームを軸にビジネスモデルを創りだす「Platform Economy」。デジタルエコシステムによる既存業界の創造的破壊「Predictable Disruption(予期される破壊)」、そして個人、エコシステム、規制当局が信頼関係を築くための技術や倫理である「Digital Trust」。いずれも調査対象の企業幹部、IT担当役員の多くが重要視している項目である。

 これら5つのトレンドを見ていると、デジタルエコノミーにおける労働者の立場はますます不安定になっていく印象を受ける。例えば先日、米国の大手ハンバーガーチェーンMcDonald's 社がカウンター業務を自動化するロボットの実験導入を開始したという報道があった。米国の法定最低賃金は上昇の一途をたどっており、都市によっては段階的に時給15米ドルまで引き上げることが決まっている。Intelligent Automationの発達でロボットの方が下手な人間よりも気の利いた応対ができるようになり、なおかつコスト的にロボットを導入する方が有利となれば、接客業のカウンター業務から人間は一気に駆逐されていく可能性が高い。

 アクセンチュアの報告資料は、こうした状況を「高負荷な仕事をAI/機械が担い、“ひと”の仕事は高付加価値の領域にシフト(する)」という常套句でまとめている。もちろん、技術の発達によって人間の仕事が機械に取って代わられるのは、今に始まったことではない。それでも、Intelligent Automationとそのメリットを最大限引き出すPlatform Economyによって、労働者の多くはかつてない規模でLiquid Workforce(流体化する労働力)となっていくのだろうと思えてくる。そして、高付加価値の領域にシフトできなかった労働者の受け皿となるべき職場も、そのかなりの部分をロボットが代替するようになる。そうなると、先日のエディターズノートで提言されていたように、将来はAIの普及とセットになったBI(ベーシックインカム)支給が現実的な選択肢になるのだろう(関連記事)。

レポートを報告するアクセンチュア執行役員デジタルコンサルティング本部統括本部長の立花良範氏
レポートを報告するアクセンチュア執行役員デジタルコンサルティング本部統括本部長の立花良範氏