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 自動車業界で注目を集めているものとして真っ先に頭に浮かぶのは自動運転ではないでしょうか。日経テクノロジーオンラインでは、自動運転を実現するための各種技術を取り上げています。その中心は、センサー技術や、そのセンサーで取得したデータを分析する技術などです。一方で、重要だけれどあまり表からは見えない、“黒子”のような技術があります。

 それが「車載Ethernet」です。Ethernetはこれまで、オフィスや家庭の通信機器やパソコンなどを接続するネットワークで利用されてきました。今後は、自動車内のECUや電装品同士をつなぐ車載LANにEthernetが広がっていくでしょう。自動車業界が、車載Ethernetの採用に舵を切っています。

 中でも車載Ethernetの採用に積極的な企業は、ドイツBMW社です(関連記事)。同社は、2013年秋に発売したSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「X5」の新型車において、世界で初めて車載Ethernetを採用しました。X5では、周辺監視用カメラモジュールとECU間を接続する映像伝送路に車載Ethernetを適用しています。

 自動車業界がEthernetの採用に本腰を入れ始めた理由の1つは、コスト削減効果にあります。Ethernetを使うと大きく2つの面でコストを減らせます。

   1つは、高速なデータ伝送速度を求める用途でケーブルコストを削減できることです。100Mビット/秒、1Gビット/秒、10Gビット/秒と、車載ネットワークとしてはデータ伝送速度が高い特徴があります。カメラモジュールの伝送系や車載AV機器の映像伝送(情報)系ネットワークでは高速なデータ伝送技術が強く求められます。

 自動運転では、「走る」「曲がる」「止まる」といった「制御系」、ADAS(先進運転支援システム)などの「安全系」、シートやパワーウインドーなどの「ボディー系」、カーナビやリアシート用ディスプレーなどの「情報系」といった系統(ドメイン)をまたぐかたちでの協調制御が必要になります(関連記事)。そうなると、バックボーンなどで扱うデータ量が増えます。扱うデータ量が増えたときにケーブルの本数を増やす代わりに、高速なEthernetでケーブル数を抑制するのです。ケーブルが減れば、設置空間や重量の面でも有利になります。