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入場無料なのにダフ屋が活動

 筆者が取材した展示会の中には、入場無料の展示会があった。出展者からの出展料を収益源として、来場者からの収入は当てにしない。入場無料にして来場者数を増やすことで、出展者の満足度を高める考え方である。日本のイベントでもよく見かける方法である。

 筆者が驚いたのは、入場無料の展示会なのに、展示会場前の歩道でダフ屋のおじさんが活動していたことだ。意味が全く分からない。そこで、中国人の同僚に、どういうことか聞いてみた。返ってきた答えに、また驚いた。入場無料であることを知らない人に、入場券を売っているというのだ。

 中国は広い。地方からはるばる都会に出てきた人の中には情報に疎い人がいて、展示会が入場無料であることを知らない人も少なくないとのこと。そうした人を、ダフ屋はターゲットにしている。ちなみに、筆者がこの場面に出くわしたのは、「スマホ製造の首都」と呼ばれる深センでの展示会だった。

 このダフ屋の行為は詐欺であり、もちろん賞賛したり、お勧めしたりするものではない。やってはいけないことである。ただ、「入場無料の展示会で活動する」というダフ屋の発想には恐れ入った。なお、ダフ屋のおじさんの写真を撮る勇気はなかった。ご容赦いただきたい。