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 工場のスマート化って、かなり泥臭い取り組みだな――。稼働データを集めるために工作機械のNC装置を改造したと聞き、そう思わずにはいられませんでした。長野県・御代田町にあるシチズンマシナリーの工場を取材したときのことです(関連記事)。

 国内外の工場で稼働している工作機械の稼働状況をリアルタイムで可視化する。同社は2015年からそんな取り組みを進めています。具体的には、個々の工作機械について「稼働しているか」「どのワークを加工しているか」「計画に対して実際の加工時間はどれぐらいか」「異常は起きていないか」といったことが一覧できるシステムを構築しました。

 同社の主力製品は自動旋盤。自動旋盤の部品を加工する工作機械が、可視化の対象です。その際に同社が苦労したのは、工作機械を制御するNC装置からいかにデータを取り出すかということでした。最近でこそネットワーク機能が充実したNC装置も増えてきましたが、少し前のNC装置だと制御に必要な最小限の通信インターフェースしか備えていないからです。もちろん、その制御系を介して稼働データを取得することも可能ではありますが、実際の加工に影響が及ぶリスクを考えると、それはなるべく避けたいわけです。

 そこで改造の話が出てきます。NC装置によっては内部に調整作業用のEthernetポートを“隠し持っている”ため、工作機械メーカーと相談した上で、そこから稼働データを取り出せるようにしました。もともとはNC装置の内部にあった無骨なEthernetポートに通信ケーブルが接続されている様子は、お世辞にもスマートとはいえませんが、実現したことはかなりスマートです。

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 興味深い点は、同社がこの可視化システムを自社のユーザーに「alkartlive(アルカートライブ)」という名称で提供していることです。自社工場では、そのための実証をしているわけです。工作機械は、かなり昔に造られたものが今もたくさん稼働しています。スマートファクトリーを実現するには、それらの古い機械をスマート化していくことがカギになります。最新のITも重要ですが、NC装置を改造するというような泥臭いノウハウもそれと同じぐらい重要になるのかもしれません。