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図1 齋藤昇三氏
図1 齋藤昇三氏
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図2 オープンイノベーションで実現(資料:DSPC)
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 2016年9月15日に、IoT関連の研究開発などを手掛ける新会社デバイス&システム・プラットフォーム開発センター(DSPC)が事業開始の記者会見を開催しました(関連記事1)。

 DSPCは、半導体関連のコンソーシアム「SIRIJ(半導体産業研究所)」「STARC(半導体理工学研究センサー)」の後継との位置付けで設立された「民間企業」です。DSPCへの出資会社は、アルプス電気、荏原製作所、テセラ・テクノロジー、東京エレクトロン、東芝、凸版印刷、ニューソンの7社。すなわち、国家プロジェクトの後継として、民間会社が設立された珍しい例となります。DSPCの代表取締役会長を務めるのが元東芝代表執行役副社長の齋藤昇三氏です(図1)。DSPCへの出資7社のうち、筆頭株主がアルプス電気、東芝、凸版印刷、ニューソンであり、この4社が同じ出資比率なので、DSPCの会長が東芝出身の齋藤氏というのも納得がいきます(ちなみに、DSPCの代表取締役社長は、元アルプス電気の波多野至氏です)。

 ちなみに、私自身は駆け出しの記者の頃から齋藤氏に何度となく取材をさせていただいており、もうかれこれ20年近くお世話になっています。齋藤氏といえば、東芝の副社長時代などに、NANDフラッシュメモリー事業の急拡大を先頭に立って推進してきたことがよく知られています。そんな齋藤氏ですが、東芝の経営幹部時代から、同社の半導体事業の責任者としての「顔」とは、別の顔を持っていました。それは、「日本の半導体産業をいかに復権させるか」という命題に挑戦し続けるという顔です(関連記事2)。

 齋藤氏のこうした思いを知っていましたので、齋藤氏がDSPCの会長を引き受けたのも、私にはごく自然に写りました。その齋藤氏は、今回の記者会見で、DSPC設立の狙いをこう語りました。「今までの国プロのダメだった点を改善していくためにDSPCを立ち上げた。従来の国プロは、プロジェクトが終わるとそこで役割を終えてしまうことが多く、なかなか実用化に結び付かなかった。DSPCでこれを解決する」。

 そのためのDSPCの答えは明快です。DSPCが手掛けるのが、多くの機器に実装しやすい超低消費電力のデータ収集システムの提供と、これを活用したソリューションサービスのプラットフォームの構築です。この実現に必要な要素技術はDSPCに参加する民間企業がきちっと手掛けることで、誰(どこ)が主導権を持っているのか分かりにくかった従来の国プロの欠点を解決しようという考えです。実際、DSPCが記者会見で見せた資料(図2)では、各要素技術にDSPCの出資社の役割が明示されているのと同時に、「足りない技術やサービスはオープンイノベーションで積極的に協業していく」(DSPC)方針を明らかにしています。齋藤氏率いるDSPCの挑戦は始まったばかりです。