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 「トヨタはどうするのか」――。どのようなテーマであれ、日本の製造業においてトヨタ自動車が及ぼす影響力は非常に大きなものがあります。「IoT工場」や「スマート工場」といった分野でも、それは同様です。さらにいえば、この分野での同社はいつも以上に積極的な動きを見せているように思います。

 日経BP社が主催するイベント「FACTORY 2016 Fall」のオープニングセッションでは、トヨタ自動車とセコムのキーパーソンが登壇し、「デジタルビジネスの未来」を語ります(ITpro EXPO 2016との共同企画)。そのうちトヨタ自動車からは、今春に新設された未来創生センターの統括を務める磯部利行氏が「トヨタ自動車が考える『IoT工場』の将来」と題して講演します

* 実は、このセッションは非常に人気で、既に事前申込の受付を終了してしまったのですが、他にも興味深いセッションが目白押しですので、ぜひこちらのサイトでご確認ください。

 例えば、同社は2016年1月に米国シリコンバレーに人工知能(AI)の研究・開発会社「Toyota Research Institute」(TRI)を設立しましたが、そこでの将来的なテーマとして「AIを活用した生産管理手法の開発」を挙げています(関連記事1関連記事2)。同年4月の「Hannover Messe 2016」では、ドイツ発の通信ネットワーク規格「EtherCAT」の採用を明らかにしました(関連記事)。これもまた、IoT工場の実現に向けた取り組みの1つです。さらに、IoT工場の企業間連携を推進するインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)でも、トヨタ自動車は中心的なメンバーの1社として活動しています。

 2015年秋に開催されたTRI設立に関する記者会見では、同社代表取締役社長の豊田章男氏が自らその経緯や狙いを語っていましたが、これら一連の動きも同氏が提唱する「もっといいクルマづくり」の一環として位置付けられているようです。従来も同社は新しい技術や動向に敏感な企業だと個人的には思っていましたが、それは水面下での情報収集や連携が中心であり、対外的に明らかになるのは方針がほぼ固まってからだという印象がありました。しかし、同氏が社長に就任してからは、フットワークがさらに軽くなり、コンセプトの段階でも対外的に発信するようになったと感じています。

TRI設立に関する記者会見で語る豊田章男氏
TRI設立に関する記者会見で語る豊田章男氏
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 日本の製造業は、良くも悪くもトヨタ自動車のような産業機器のユーザー企業を頂点とする“ピラミッド構造”が色濃く残っています。IoT工場を含むスマート化で日本が欧米に後れを取っているのだとしたら、そのような産業構造も影響していると思われます。だからこそ、同社が対外的に見える形でさまざまな情報を発信することには大きな意味があると、個人的には期待しています。