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遠隔画像診断に関する発表も多かった「第19回 日本遠隔医療学会学術大会」の一コマ。遠隔会議システムのデモンストレーションの様子
遠隔画像診断に関する発表も多かった「第19回 日本遠隔医療学会学術大会」の一コマ。遠隔会議システムのデモンストレーションの様子
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 思わず、書店に駆け込みました。「放射線科」を舞台にした漫画が登場したと、編集長から知らされたからです。

 集英社の漫画雑誌「グランドジャンプ」11月4日号(10月21日発売)で連載が始まった『ラジエーションハウス』がそれです。うたい文句は「知られざる医療の裏側『放射線科』を描く、超本格・医療診断ミステリー」。巻頭カラー、一挙58ページ掲載という破格の扱いからも、発刊元の期待の高さがうかがえます。

 この漫画の登場に敏感に反応したのにはワケがあります。先だって、「ブラック・ジャックが英雄の国ではダメ」と題する記事を日経デジタルヘルスに掲載したからです。

 タイトルのもとになったのは、日立製作所と日本アキュレイが開催した「日立高精度放射線治療研修センター開所式」に登壇した、東京大学医学部附属病院 放射線治療部門長の中川恵一氏の発言でした。同氏は、日本では外科医が医療の“主役”ととらえられがちで、その風潮は医療ドラマの主人公の大半が外科医であることにも表れていると指摘。放射線科医は「(地味すぎて)ドラマにならない」と自嘲気味に語りました。

 実際、日本では放射線科医や診療放射線技師は「知られざる医療の裏側」的な存在。X線CT装置やMRIといった画像診断装置の普及率は世界的にも際立って高い一方、放射線治療を受ける患者が少ないことも一因かもしれません。中川氏によれば、欧米ではがん患者の5割近くが放射線治療を受けているのに対し、日本では3割ほど。7~8割は手術による治療を受けているといいます。

 こうした背景もあり、日本では放射線科の人材が慢性的に不足しています。例えば、放射線画像を基に診断を行う医師(画像診断医)は「圧倒的に不足している」(日本医学放射線学会)状況です(関連 ページ)。

 結果としてニーズが高まっているのが「遠隔画像診断」。互いに離れた場所にいる医師と放射線の専門医の間でX線CTなどのデジタル画像を共有し、専門医が診断を支援するというものです。2015年10月9~10日に仙台市で開催された「第19回 日本遠隔医療学会学術大会(JTTA 2015)」でも、遠隔画像診断に関する発表や展示が多数ありました。

 いわゆる「遠隔医療」の中で、遠隔画像診断は比較的普及が進んでいる領域。一方、医師と患者を直接つなぐ「遠隔診療」はこれまでなかなか採用が進んできませんでした。患者との対面診療を原則とする医師法第20条への抵触を恐れる医療関係者が多かったことなどが背景にあります。ところが2015年8月、厚生労働省が遠隔診療の適用範囲を必要以上に狭く解釈しなくてよいことを強調した通達を出したことで、潮目が変わろうとしています(関連記事)。

 日経デジタルヘルスではこの機をとらえ、遠隔診療に関する連載企画を予定していますのでご期待ください。また、これとの連動企画として『どうなる?遠隔診療 ~厚労省の“解禁通達”で潮目が変わる~』と題するセミナーを2015年12月9日に東京・秋葉原で開催します。ぜひ足をお運びいただけると幸いです。

 さて、『ラジエーションハウス』の連載第1回。実際の放射線科医や診療放射線技師が監修していることもあり、かなり医療現場の内情に踏み込んだ内容だと感じました。診療放射線技師の主人公の今後の活躍ぶりに、胸ふくらみます。“ジャンプ世代”でありながらジャンプを読まずに少年時代を過ごしてしまった筆者ですがグランドジャンプ、ハマりそうです。