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中国ディスプレー産業の成長は続く

 中国の成長は、ディスプレー産業のようないわゆるハイテク産業においても著しい。6年前は、液晶パネル産業における中国の存在感は、非常に小さいものだった。当時、中国の液晶産業の規模は韓国、台湾、日本に続いて4位。シェアは10%あるかどうかだった。それが今では2位の台湾にほぼ匹敵する規模になり、シェアは25%を超えるようになった。液晶への新規投資がほぼなくなった韓国を抜き去り、今後数年で世界一になる可能性が高い。

2016年上期の世界のパネル出荷面積。単位は万m<sup>2</sup>。(出所:中国光学光電子行業協会液晶分会)
2016年上期の世界のパネル出荷面積。単位は万m2。(出所:中国光学光電子行業協会液晶分会)
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2016年上期の世界市場における中国製パネルの用途別搭載シェア。(出所:中国光学光電子行業協会液晶分会)
2016年上期の世界市場における中国製パネルの用途別搭載シェア。(出所:中国光学光電子行業協会液晶分会)
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 液晶パネル産業は成熟化と成長鈍化が指摘されているが、中国は成長を止めない。次の成長のけん引役として有機ELに照準を定め、経営リソースを急激に振り向ける考えだ(関連記事1同2)。

 中国では、政府や政府系ファンドなどが企業の設備投資を支援し、継続的な巨額投資を可能にしている。典型的な設備投資産業であるパネルの事業で、日本企業が真っ向勝負をすることは困難だろう。しかし、中国も課題を抱えている。技術不足や人材不足などだ。日本企業にとっては、プリンテッドエレクトロニクスなどの先端技術で先行するなど色々な方策が考えられるが、成長する中国と組んで共に成長するというのも1つの手だろう。成果を収めている装置・材料メーカーは既にある。

昨年(2015年)のDisplay Innovation CHINAの会場の様子。
昨年(2015年)のDisplay Innovation CHINAの会場の様子。
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 来週、7年目を迎えるカンファレンス「Display Innovation CHINA」(2016年11月1~2日、中国・北京)の取材のために、筆者は現地を訪問する予定だ。今年は、中国が全力で取り組む有機ELをはじめ、AR/VR、8K、車載、裸眼3D、フレキシブルなどが注目される。また、アプリケーション側からは、「中国のNetflix」と呼ばれる映像番組配信企業のLeEco社(楽視)や、中国で急成長するスマホブランドのCoolpadなどが講演する予定である。LeEco社は、映像番組配信にとどまらず、最近はテレビやスマホ、さらには自動車まで業態を急拡大させていることで、注目を浴びている。Coolpadは、有機ELパネルの採用に非常に積極的なスマホブランドだ。新たに仕入れた情報を現地からも報告する予定なので、ぜひご期待いただきたい。