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財務会計で採算を判断してはならない

――その刻んだ数字というのはあくまで便宜上の原価計算によって出てきたものなので、それをどれだけ積み上げても、固定費を回収できたかどうかとは別問題ということですか。

北山 そうです。これでは、本当の採算は見えません。

 例えば、生産設備の固定費を製品ごとに配賦(使用料)を計算します。その計算方法とは、「1億円の生産設備を10年で償却するから、1年当たりでは1000万円。年に4000時間稼働すると仮定して、1時間当たりでは2500円」といったものです。この場合、生産設備を30分使えば、1250円のコスト負担となります。経理の担当者は、そうやって時間単位の原価を算出しています。

 しかし、この理屈だと、たくさん稼働すると仮定した場合は使用料がもっと安くなるし、あまり稼働しないと仮定した場合は使用料がもっと高くなるわけで、条件次第で使用料をいかようにも設定できてしまいます。技術者や経営者は、このような原価計算の前提となる条件を知らずに出てきた数字だけで判断しなければならないので、実態を把握できません。

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 とはいえ、現在の財務会計ではこのように原価計算せざるを得ないのです。だから、これは財務会計のための数字だと割り切る必要があります。そして、採算を判断するための視点は別に確保すべきなのです。1億円の生産設備を導入するなら、1億円をどう回収するのかということをきちんと考えなければなりません。それこそが、会計の視点から設計を見るということです。