「過剰発電」と「ランプアップ」が厳しい課題
まず、午前中に「ランプダウン(急な実質需用量の低下)」に直面する。これは、太陽光発電の出力が急激に増加する時である(Ramp min)。
次に日中「過剰発電(日中の低い実質需要)」が発生する。これは、需要が低い日中に太陽光発電の出力が最高(MAX)に達することで、供給過剰になることで生じる。その場合、コスト的に効率的な方法ではないが、大規模なベースロード発電所の出力を絞っていくか、再エネの導入量を拡大する目標に反して、太陽光発電の出力を抑制しなくてはならない (P min)。
次に起こるのが、夕方の「ランプアップ(急激な供給の出力増加)」だ。夕方から電力需要が増加する一方、太陽光発電の発電が減少する。その時、火力発電所など他の発電源を迅速に焚き増し、供給を増加させなければならない (Ramp max)。
そして、「実質需要のピーク」が訪れる。電力需要がピークを迎える夕方過ぎ、逆に太陽光発電からの出力はゼロとなる (P max)。
これら4つの現象のうち、一般的に日中の「過剰発電」と夕方の「ランプアップ」が最も厳しい課題とされている。
この分析では、EV台数が増加するに従ってダックカーブにどのように影響するかを、3つの異なるシナリオを想定している(図2)。
ちなみに、シナリオ3では、30%のオフィスと60%の家庭では放電制御(双方向パワーフロー)が可能で、残りは一方向パワーフローという設定になっている(図3)。