「自動乗り換え」で顧客を獲得

 元々、マリーン郡のコミュニティーのために立ち上がったMCEだが、現在は近辺の地方自治体も参加し、顧客ベースを広げている。今年はワインで有名なナパバレーのあるナパ郡の他に4市が新しくMCEに加入した。家庭用顧客が総数の約80%、ビジネス用の顧客が約20%を占めるが、電力需要量では家庭用とビジネス用顧客は約半々となる。

 このプログラムで驚くべきことは、コミュニティーのメンバーの80%以上が従来の地域独占の民間電力会社からMCEに乗り換えたことだ。この高い乗り換え率の背景には、CCAを優遇する仕組みが法律上、設けられていることがある。

 それは、CCAに限り、MCEなどのCCAプロバイダーが自動的にディフォルト(初期状態)に設定されるようになっている。つまり、普通だったらPG&Eのような地域独占電力会社からMCEへの乗り換え手続きが必要になるのだが、CCAのプログラム開始と同時にコミュニティーの顧客は自動的にCCAに乗り替わるようになっている。

 ちなみに、MCEのディフォルトのプランは、PG&Eよりわずかに割安な「ライトグリーン」であり、顧客は今まで通りPG&Eから電気料金の明細が届くので、この「自動乗り換え」に気づかない電力消費者も多いと、Weisz氏は語った。自動的と言っても、サービスの開始される最低3カ月前から数回にわたりMCEから消費者にお知らせが送られ、消費者向けのミーティングも催される。何らかの理由でPG&Eからのサービスを継続したい電力消費者は「Opt Out」という選択肢があり、電話またはオンラインで簡単に手続きができるようになっている。

 MCEは、カリフォルニア州外のワシントン州、オレゴン州から風力やバイオガス発電由来の電力などを調達しているが、「地産地消」を促進するために、州内、さらにコミュニティー内での発電に力を入れている(図4)。Weisz氏によると、今年すでに142MW分の太陽光発電を含む再生可能エネルギー発電所がMCE用に稼働を開始した。

図4●MCEの太陽光発電を含む地元の再生可能エネルギー発電所の位置(出所: MCE)
図4●MCEの太陽光発電を含む地元の再生可能エネルギー発電所の位置(出所: MCE)
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 次回は、MCEが自ら行う、雇用を生み出し、環境を保護し、地域を支える太陽光発電導入普及政策と民間電力会社より低価格で提供できるCCAプログラムの背景を説明する。