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 「分野外」と思っていた技術があまねくICTの影響を強く受け、それぞれの垣根を壊しながら一つの巨大システムに統合される方向へと進んでいる。これによって人の価値観も大きく変化し、働き方からリーダーシップの在り方にまで大きな影響を与えている。組織のフラット化や組織運営の可視化といった動きは、その一端といえる。

 このように領域を超えた体系の再構築が進む過程においては、各領域をバラバラに分析していても、そこから出てくる予測は無意味とは言わないまでも、極めて精度の低いものにならざるを得ない。長期的な予測をしようとするなら、広い視野が必須ということだ。

 そのうえで、境界領域での現象、さらには領域をまたいで発生する動きのメカニズムを見抜かなくてはならない。しかし、その作業には極めて大きな困難を伴う。専門家による精緻な予測結果は、その分野における常識や定説を網羅していて隙がなく、論破が難しいからだ。結局は「専門家が言っているのだからそうなのだろう」と信じるしかないのだ。これは企業の経営会議や企画会議などで日々繰り広げられている光景でもある。

 決してそうはならない未来を信じ、それを基に企業戦略を立てることほど滑稽なことはない。そうなりたくないのであれば、「専門家だけを集めて未来を予測する」ことをやめるべきだろう。

 もちろん、専門分野の知識、技術に対する理解が不要だと言っているわけではない。だが、それだけでは足りない。専門家としての視点に加え、さまざまな領域を視野に収め、そこで起こりつつあるさまざまな変化の「意味」を理解し、何がどのようなメカニズムでどの領域に影響を与えていくか、その結果として何が生まれるかを見通す目を持つことである。こうしたジェネラリスト的視点とスペシャリスト的視点の両方を備えることこそが、未来を予測する大前提になるのだと思う。