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呼応する社会課題と科学技術

 時系列的かつ具体的な予測の起点としたのは、独自に作成した「未来年表」である(図2)。ネットを活用して検索すると、未来予測のみならず、既定の施策やプロジェクトなど、未来の動向を左右するさまざまな情報を入手することができる。

 それらの中から特に「20XX年に何が起きる」といった、時期が明確に示された事項を集め、それら時系列で並べることによって分野ごと(テクノロジー、経済、政治、軍事など)の未来ロードマップを帰納的に作り上げたのだ。

20XX年、テクノロジー関連の未来ロードマップ (出所:『<a href="http://www.nikkeibp.co.jp/lab/mega2016/?n_cid=nbpbpn_sied_mimega160309u" target="_blank">メガトレンド2016-2025[全産業編]</a>』
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20XX年、テクノロジー関連の未来ロードマップ (出所:『メガトレンド2016-2025[全産業編]

 それらの情報の出所は、企業のプレスリリースや政府・官公庁の計画書、著名人(政治家から科学者まで)のステートメントなどである。さまざまな媒体に記事などのコンテンツとして掲載されているもので、文部科学省などが公表する未来予測関連の報告書や、新聞、ビジネス専門誌による未来予測に関する特集記事などを含む。これらの、時期を明確にした「未来に関する情報」約1万6000件を収集し、その中から特に重要と思われる約1000件の情報を選び出した。

 こうして得られた「1000の未来予測」をいくつかのカテゴリに分類して時系列に並べ、さらに主観的判断によって取捨選択、統合し集約すると、一覧性の高い「未来年表」が作成できる。

 実際に、この完成した年表を概観することで、いくつもの発見が得られた。たとえが、同時期に、テクノロジーが拓く「明るい未来」と社会の永続性(サスティナビリティ)や高齢化などに関連する「暗い未来」が混在しているということだ。

 テクノロジーの進展に関しては、遠い未来になるほど楽観的になる傾向が強まる。2045年ごろには、夢のようなSF的技術が軒並み実用化されることになっていて、ロボットと人工知能は高度に発達しており、人が担ってきた「労働」のかなりの部分が機械に代替されている。

 一方で、2035年ごろから先進諸国は強烈な高齢化負担にさいなまれ、医療保険や年金の財源問題に始まり、ついには国家財政が立ち行かなくなっていく。新興国においても、韓国、台湾、シンガポール、香港などはほとんど時間差なく高齢化問題に悩まされ、十分な経済成長を遂げる前に地盤沈下していく。

 こうした深刻な「社会課題」と、科学技術に立脚した「打ち手」の進化との間には、密接な関係があり、現実的には楽観と悲観の中間で物事は進んでいくことになるだろう。そういう意味では、個々の予測に目を奪われるべきではないのかもしれない。重要なのは、未来に向かう全体の大きな流れを把握し、網羅性を担保したうえで「メガトレンド」を見つけ出すことだ。産業の変化も技術の変化も、すべてはその「メガトレンド」に極めて強く影響されながら変化していくものだからである。