PR

 このレポートは、私たちが主催する会で大きな話題となった。レポートに触発され、未来の生活者の行動変化の可能性について飽かず話したのを思い出す。その後、SNS急拡大の予兆を感じたメンバーたちは、自動車、食品、化学などの事業領域の区別なく、次の変化がどのように起き、自分たちにどのような機会や脅威をもたらたすかを具体的に論じていった。メンバー1人ひとりの頭には、レセプターとしてはっきりと過去のブレストの記憶が残っていたのである。

 このように変化を中心に据えて、無理せず対話を繰り返していくことで、組織は「文脈を持った記憶:レセプター」を数多く共有し、情報感度を上げていく。こうした活動は、きっと戦略的に未来と関わる必要のある組織や個人の基礎体力を向上させる。特に、シナリオ・プランニングのようなプロジェクトを実行する際に、多様なレセプターを持つメンバーの参画が、結果の質を著しく向上させることは、容易に想像していただけるであろう。

通念を疑え、未来は変化でできている

 過去から見た現在は、たった一つの未来「the future」だが、現在から見た未来は決して一つではない。私たちが伝統的に「Futures」という「定冠詞なし、複数形」でこの単語を使う理由はそこにある。これは、今回紹介したScannningだけでなく、「未来技術展望シリーズ」やSBIの他のサービスにも一貫している考え方だ。

 もしあなたが今、少しでも未来の事業に関係する仕事をしているのなら、すでに事業環境に潜む変化を広く捉える事が重要だということには気づいているだろう。それならば、1日も早く未来を固定的に予測する習慣から卒業すべきだ。前回の合言葉を思い出してほしい

「通念を疑え、未来は変化でできている」

 未来が多様な可能性を持つことを受け入れ、変化に関心を持って備えていれば、突然の変化に驚く機会も減るに違いない。見慣れた世界の外側の出来事に、何年も関心を持たずに過ごし、腰を抜かすほどびっくりするのは、同窓会ぐらいにしておきたいものだ。

高内 章(たかうち・あきら)
米Strategic Business Insights社
Vice President/Intelligence Evangelist
京都大学工学部卒業後、鐘紡に研究員として入社。その後、技術調査部門を経て、鐘紡地球環境憲章立案、研究企画、新事業開発などの業務に従事する。1999年に米国SRI Consulting社のBusiness Intelligence Center(現Strategic Business Insights社)移籍後は、Intelligence Evangelistとして、広範な産業分野のクライアントと共に変化の予兆を捉える一連の活動を発展させる一方、シナリオプランニングや事業機会探索な ど、未来の不確実性に対峙して長期的な事業開発に取り組む企画担当者をサポートするプロジェクトを、数多く手がけている。