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今後10年で起きる変化の方向性とは

■患者の自己決定権:
 患者が自分で物事を決めることを指す。治療にとどまらず予防にまで広げて考えれば、自己健康管理ということになる。

 医療は医療従事者主体型から、より透明性の高い、患者あるいは利用者主体型へと移行しつつある。豊富な医療情報と情報ツールで知識を蓄えた医療の利用者は以前より多くの情報に基づいて判断を下せる。

 医療従事者に真似のできないやり方で医療や健康の情報を追跡できるウエアラブル端末やモバイル・アプリを駆使し、利用者が自ら健康管理に努め、病気予防とセルフケアを主体的に進めるようになる。医療の利用者は、権威や信頼性のある情報源を通じて、内容が検証され評価され、正確性を確認された医療情報を求めていく。

■医療の提供者:
 医療の担い手は今まで以上に、モバイルデバイスやソーシャルメディアを活用し、個人の関心を引き、共感を呼ぶことが求められるだろう。

 医療を提供する仕組みは1次医療から3次医療、長期的医療へと、医療を継続できる統合型モデルを徐々に取り入れていく。米国や一部の欧州諸国は治療成果重視型の医療手法を徐々に取り入れ、質の高い先端医療にかかる医療費の高騰を抑えようとしている。医療行為の量ではなく、患者の治療成果に重きを置いた医療提供モデルは、医療費負担の軽減と医療の質の向上につながる。

■テクノロジー:
 デジタルヘルスとモバイルデバイス医療の普及が医療に革命を起こしつつある。インターネットを介した医療データの共有によって、医療の利用者、医療従事者、医療産業は膨大なデータを入手できるようになり、医療手法や研究開発、ケアの流れを改善していける。

 スマートフォンをはじめとする携帯電話や、持ち運びが楽で遠隔操作が可能なデバイスの普及は、発展途上国や過疎地、自宅における医療の提供形態を一変させる可能性をもたらす。

 生命科学が発展し、ゲノム解析のコストがもっと下がれば、遺伝子情報が病気予防や診断、治療に使われるようになり、いずれ真の意味の個人向け治療が登場するだろう。遺伝子治療と遺伝子編集の研究が進み、遺伝子がひき起こす病気の治療と予防が可能になる。

 さらに再生医療と幹細胞を駆使した人工臓器などの治療法によって、機能不全に陥った身体の一部を復活できるようになるだろう。ロボット手術や侵襲性のない手術、遠隔手術の開発や進化により、患者に痛みを与えない外科手術を正確にこなせるようになっていく。

■規制:
 法規制については、医薬品の規制と医療機器の規制を統合することが大きなテーマとなる。統合が実現すれば規制プロセスの効率化が進み、医療関連製品の輸入や医療部門への投資が容易になり、透明性が増す可能性がある。

「医療健康の未来」の全体像。(出所:「<a href="http://www.nikkeibp.co.jp/lab/gl_mega2016/?n_cid=nbpbpn_sied_migmth160108u" target="_blank">グローバル・メガトレンド 医療・健康の未来 2016-2025</a>」)
「医療健康の未来」の全体像。(出所:「グローバル・メガトレンド 医療・健康の未来 2016-2025」)