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 外的環境の構造的理解を促すセッションは、通常クライアントのプロジェクトチームだけではカバーすることができない領域の知見を有する弊社スタッフを加えて行われる。全体の議論をけん引するファシリテーターは、あの手この手で、可能な限り数多く意思決定に影響を及ぼす外的環境の重要な変化要因を引き出していく。議論の俎上に上る変化要因は、結果的に数百に及び、縦軸に「意思決定事項に対する影響度」(Impact)、横軸に「不確実性」(Uncertainty)をスケールにとったチャートに展開されて選択されていく。(図3

図3:シナリオ的思考を表現するImpact/Uncertaintyチャート
図3:シナリオ的思考を表現するImpact/Uncertaintyチャート
(図:Strategic Business Insights社)
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 シナリオに関心をお持ちの方なら一度は目にしたことがあるだろう。このチャートが登場した時点で、プロセスは一番拡散した状態から収束に向かい始める。

 左上(高重要性、低不確実性)の角に寄った項目は、想定した期間の終了地点での状態が想像できる「Force(要因)」として認識される。これらは、どのシナリオにも同じように反映され定数のように扱われる。

 例えば、前述の人口減少トレンド。このようなデモグラフィックスに関連する項目は、20年程度先まで非常に手堅い情報を与えてくれる重要な要因の一つになる。問題は、より右側の高不確実性に寄った数多くの「Force」の扱いだ。重要な要因なのに、出口の様子が特定できない、言い換えれば、現時点であなたの意思決定をあいまいにしている不安の素である。

 人口減少トレンドや、高齢化は織り込むことができても、その結果、人々の経済状態がどのように変化するか、価値観がどのように変化するかなどは、知る由もない。シナリオプランニングでは、このような「Forceたち」を未来感を分けていく変数のような要素として取り扱っていく。

 実際の作業では、通常60程度の不確実要因と、数個から10個までの確実要因が選択されて次の作業に回される。これらの外的要因の束こそ、未来の状態を決定づけていく要因であり、戦略に影響を及ぼす外部からの影響「Force」であり、戦略実行に際してその変化を注目していかねばならない観察視点として認識されていく。

 私たちは決して未来を映す水晶玉を持つことはできない。しかし、例えベストエフォートベースではあってもその未来を構成している要因を特定することならできる。極論すれば、シナリオは、これらの「Force」の可能性を想定できるぎりぎりまで振って、その「Force」の一つひとつが自分たちに何をしでかすのかを想像し、未来に起こる嫌なことに備え、また想定していなかった新しい機会に気づくためのツールだと言うこともできる。

 こうして発見された「Force」は、続くプロセスで「嫌なことの構造が違う三つないし四つの未来」を表す世界観を構成する要素として整理され、それらの世界を表す「Force」の一覧表と、それぞれの物語として表現される。それぞれの未来は、合理的で納得感のあるストーリーを持つ必要があるが、どれかの未来が到来することを期待しているわけではない。