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質の高い特許を多く出願している企業は

 ただ、質の高い特許(特許評価スコアが高い特許)を多く出願している企業は、Qualcomm社であり、家電メーカーではない。Qualcomm社の特許出願は、コンテンツ配信方法や、キオスク端末向けの付随技術といえるコンテンツ課金方法に関する出願が多い。将来的に、コンテンツへの課金をベースとしたビジネスモデルを市場へ浸透させる魅力的なサービスが登場すれば、Qualcomm社の技術の市場価値は一気に高まる可能性が出てくる。そして、広告モデルをベースにした放送ビジネスで発展してきた現在のテレビの位置づけは、今後10年で大きく変わるかもしれない。

 技術課題ごとの出願件数推移を見ると、センサー制御に関する特許出願が多い(図5)。また、前述したように映像機器に関する特許出願が多かったことから、リッチコンテンツを扱うための負荷対策に関する技術も多く出願されている。解析・AI化に関しては、米Microsoft社に質の高い特許が多く、特に、コンテンツ配信のAI化やUIの改善に関する出願が目立っている(図6)。

図5 技術課題ごとの出現件数推移
図5 技術課題ごとの出現件数推移
(出所:アモティ、日経BP社『IoTの未来 2017-2026[特許分析編]』より)
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図6 技術課題ごとの権利残存状況
図6 技術課題ごとの権利残存状況
(出所:アモティ、日経BP社『IoTの未来 2017-2026[特許分析編]』より)
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 現時点でスマート家電は、これがないと生活していけないような必需品ではない。このため、使いやすさが普及の条件になり、今後はこの周辺の技術での特許出願が増加すると見られる。図7図8は技術課題を製品別に対比し、分析したグラフで、「出願件数」「特許評価スコア」の2種類のパラメータでそれぞれ対比させたものである。

 製品と技術課題の対比グラフでソニーの映像機器の特許に注目すると、特許評価スコアが高い出願が多い。スマート家電ネットワークを個人の住宅でスムーズに導入できる製品は、テレビをはじめとした映像機器と捉え、ソニーはこの分野に注力していくものと思われる。また、LG Electronics社の洗濯機に関する出願は、ネットワークへの統合と、洗濯機の筐体の特定に関するものが主となっており、IoTを有効活用する点では関連性の少ない出願がほとんどである。また、出願件数は多いが、特許評価スコアが高くはなく、技術的な優位性は認められない。

図7 特許出願件数による製品-技術課題対比
図7 特許出願件数による製品-技術課題対比
(出所:アモティ、日経BP社『IoTの未来 2017-2026[特許分析編]』より)
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図8 特許評価スコアによる製品-技術課題対比
図8 特許評価スコアによる製品-技術課題対比
(出所:アモティ、日経BP社『IoTの未来 2017-2026[特許分析編]』より)
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