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国内メーカーの努力と時代の趨勢

 一方で、我が国で医療機器に使用できる周波数帯は「400MHz帯・微弱無線」のみの“単方向通信”という電波利用形態に限定されていた。1998年に制定されたこの規制は、具体的には「小電力医用テレメータ」として、現在でもその利用が勧告されているものだ。これに加えて、2.4GHzのISM帯が普及し始めている状況については、前回にも述べた。

 これまではというと、国内の医療機器メーカーでも、苦肉の策として小電力医用テレメータとは別の周波数帯を併用し、セントラルモニタから送信機側(生体情報モニタ)に向けて疑似的な双方向通信実現するというような努力もあった。

 小電力医用テレメータの問題は、これだけにとどまらない。固定されている周波数利用のバッティング(混信障害)をなくすために、そのチャンネルを管理する「無線チャンネル管理者」の設置が義務付けられているのだ。設計段階でのリスクの低減を要求される医療機器において、こと電波利用となると、混信やその他のリスク回避については、使用者である医療従事者や患者が背負わないといけない現状があった。

 ところが、2012年以降、サブギガ帯と呼ばれる900MHz帯域のIMS帯が一般利用されるようになり、2.4GHz帯との併用も始まった。サブギガ帯は、2.4GHzに対して伝搬特性がよいことで知られているため、医療・環境関連のワイヤレス機器としても利用が開始されている。

 これら他国でのICT複合ワイヤレス医療機器の動向や、国内での一般通信技術の動向に注目し、医療・健康機器での適格な対応をとるべき時を迎えている。「400MHzの縛り」で遅れを取ってしまった30年弱のハンデを取り戻すべき時でもある。医療機器の電波利用に関しては、法令遵守はもちろんとしても、産官学連携のもとでワイヤレス医療機器に最も安全で最適な電波の有効利用対策を模索するべきだろう。