2016年6月21日、厚生労働省内に医療機器や再生医療機器などの審査管理を担当する「医療機器審査管理課」が設置された。これまでの医療機器の位置付けとして「医薬品の傘下」というイメージから脱却できなかったが、医療機器専門の審査管理業務も医薬品と並列になることで、今後の政策の活発化が期待される。
国際整合性推進は、もろ手をあげて賛成
かつての薬事法の中に定義されていた「医療用具」が「医療機器」に改称されたのが2005年。法律名が「医薬品・医療機器等法(略称)」となって「医療機器」の名が医薬品と併記されるようになったのが2014年。だが、その総元締めとなる医療機器の担当課は、「医薬品審査管理課」に所属していた。
今回、厚生労働省の医薬・生活衛生局内に新設されたのが医療機器審査管理課だ。医薬品との対比という観点から、医療機器の位置付けが明確になるよう下表に示した。
医療機器の審査管理業務においても、医薬品と肩を並べたという印象が強い。なお、新設の同課の傘下に「再生医療等製品審査管理室」が配置されている。同課が所轄する対象機種は、必然的に医療機器、体外診断用医薬品および再生医療機器製品となる。
また、同課の初代課長には、これまでも同省の大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)として活躍してきた磯部総一郎氏が就任した。厚生労働省の掲げる政策の一つに「国際薬事規制調和戦略(RSI)」があり、医薬品・医療機器規制に関わる国際調和を目途としている。その中で、医療機器分野を牽引しているのが磯部氏でもある。
その具体策として、任命翌日の2016年6月22日付の課長通知、「MDSAP Pilotの調査結果の試行的受け入れについて」(薬生監麻発0622第3号、薬生機審発0622第1号)が発出された。MDSAPとは、米国、カナダ、オーストラリアおよびブラジルの4カ国間でのQMS整合性であり、これらの国の間ではQMSが単一監査で済むような合理化が図られている。今回の日本の試行的参加は2016年末まで行われ、この期間内での模擬参入という意味合いが強い。
期間が限られ、またEU諸国も未加入な体系への限定的な試みとはいえ、同課の推進する国際整合性推進策は、大いに期待するべきだろう。こうした試みをただ一時期のものとはせず、確実に、しかも迅速かつグローバルに展開していく政策の推進が望まれる。