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東大大学院が「医療圏データ分析・考察コンペ」

 ただ、実際には現在の地域医療構想の策定過程で、各関係者からの声を十分に聴取して反映している都道府県の例は少ない。そのため、現場の医療提供者からは不満や不安の声が多く聞かれ、患者・住民に至っては、大半がそもそも地域医療構想というものを全く知らずにいる。このままなら地域医療構想によって進める医療計画の高度化はままならず、地域の実情に応じた医療の質・コストの最適化につながらない恐れも十分あるだろう。

 そんな中、東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニットではこのほど、「医療圏データ分析・考察コンペ」と題したコンテストを実施する(募集要項などはこちら)。病床機能報告制度で開示されたデータなど多岐にわたる情報源のデータを使いやすいように整理・統合したデータベースを広く一般に公表・提供した上で、それを活用した分析・考察についてのアイデアを広く募集しようというものだ。データベースには、縦割りで散在する様々なデータが整理・統合されており、 全国47都道府県344医療圏7270病院2万8291病棟のデータがそろう(データは全てExcelファイルで公表)。

 応募資格は特に問わず、行政、医療・介護提供者、患者団体、地域住民の有志などから広くアイデアを受け付ける。主催者によれば、専門家による高度な統計的分析はもちろん、医療関係者や患者住民からの現場目線・住民目線でのシンプルな考察、データ分析も歓迎するとしている。応募締め切りは2016年2月10日。優秀作品は、3月13日に開かれるシンポジウム当日に発表・表彰される。

 募集要項などが掲載されているウェブサイトには、実際の操作イメージなどを解説した「入門者向けガイド」も掲載されている。このデータベースを筆者も少々いじってみたが、非常に多くのデータが網羅されていて興味深い。無料でダウンロードできるため、読者の皆様にはまずはデータベースにアクセスしてみることをぜひお勧めしたい。