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 もちろん、読影には解剖学や生理学などの知識が求められる上、機器の操作技術の習得も必要だが、松尾氏は「最初から全てを網羅しようと思わず、まずは血管や膀胱など『ここだったら確実に見える』という部位を1カ所マスターし、徐々に範囲を広げて自分のものにしていけばいい」とアドバイスする。

 「これからの看護師には、当たり前のようにエコーを使ってもらいたい」と話す松尾氏は、臨床現場の看護師がX線写真やCTなども含めた画像をどのようにケアに役立てていけばいいのかを研究する、「画像看護学」という新たな学問分野の確立に向け取り組んでいる。

 その一環として現在進めているプロジェクトの1つが、看護師向けエコーの開発だ。近畿経済産業局の関西イノベーション国際戦略総合特区「医工連携事業化推進事業」実証事業に採択され、関西の複数企業と共同研究を行っており、早ければ2017年春には製品化につなげたい考えだ。

 「ナース向け」と銘打ったエコーの開発は初の試み。(1)「血管」「おなか」など見たい部位によって瞬時にモードが切り替わる、(2)コンパクトで携帯性に優れるが全体像を把握しやすいようにプローブは従来型のエコーと同じ大きさにする──など、看護師が直感的に扱えるよう、操作性・デザイン性にこだわって開発を進めている。ここにも、松尾氏の看護師としての臨床経験が生かされている。

 撮った画像をそのまま送信できる機能も組み込む予定で、「在宅や高齢者施設など、医師が近くにいない現場で働く看護師に活用してもらえれば、異常の早期発見・対応も可能になる」と松尾氏は可能性を語る。

 実は、日経メディカルAナーシングでは、近々、松尾氏監修による新連載「明日からできる!ナースエコー」(仮)のスタートを予定している。プローブの握り方といった基本から、動画を交えて分かりやすくレクチャーしていただく計画で、「看護師読者に『これだったら私もできる』『病棟にあるエコーを触ってみようかな』と思ってもらえるような連載にできれば」と松尾氏は意気込みを語る。ぜひお読みいただきたい。

 ベッドサイドでバイタルサインを確認中、患者さんが点滴の刺入部の痛みを訴えたため、エコーで静脈留置針の針先を確認したところ皮下に薬剤が漏れており、速やかに針を差し替えた──。こんなふうにエコーを「日常使い」する看護師を目にする日は、そう遠くないかもしれない。