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「病院の看板は下ろせない」との声に配慮

 報告書では介護療養や25対1医療療養の新しい移行先として、案1-1、案1-2、案2という3つの選択肢を示しました(図1)。

図1 「療養病床の在り方等に関する検討会」が示した新しい施設類型のイメージ(厚生労働省の資料を基に日経ヘルスケア編集部作成)
図1 「療養病床の在り方等に関する検討会」が示した新しい施設類型のイメージ(厚生労働省の資料を基に日経ヘルスケア編集部作成)
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 そのうち案1-1と1-2の2つは、現行の介護療養型医療施設の後継となるような医療提供施設です。医療必要度が比較的高い入所者に対し、看護師などの配置スタッフが医療・介護を一体的に提供します。案1-2はそれよりは比較的軽度な要介護者の受け皿で、配置される医師・看護師も少なくなるものと思われます。

 案1-1と1-2は医療内包型の施設類型ですが、もう1つ示された案2は、院内に病床転換した「住まい」を作り、医療は訪問診療や訪問看護など外付けで提供するという医療外付け型です。介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)などに近い類型といえるでしょう。

 つまり病院内に高齢者の「住まい」ができるわけです。検討会案では2005年に介護療養病床の廃止方針が唐突に打ち出された際の「病院から施設になれというのか」という反発に配慮し、20対1医療療養に機能を集約化し、残り部分を新しい施設類型に転換するイメージも提示しました。つまり「病院の看板を下ろさずに一部だけを施設にする」案です。

 介護療養病床は現在約6万床(2015年8月分病院報告)、25対1医療療養は約7万6000床(2014年7月時点施設基準届け出)で、どの程度の病床数が新しい施設類型に移行するかは未知数ですが、それでも現場を納得させるのは容易ではなさそうです。「病院内の一部だけを施設にした場合でも、その部門に配置された職員の士気低下は免れないだろう。あくまで病院であることにこだわりたい」と冒頭の経営者は語ります。この病院では、来る2018年度を見据え、介護療養からまず医療療養2、そして医療療養1への移行を進める方針だといいます。25対1の経過措置の終了もにらみ、「20対1医療療養」を目指す動きは、2017年度末までの2年間でより加速していくはずです。