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 「病院から施設への転換は、あなたたちが思っている以上に現場の反発が強いものなんだ。理屈だけで割り切れる話ではない」

 介護療養病床を運営する、ある病院経営者はこう憤ります。他の病院経営者からも「病院で働いていることにプライドを持っていた現場の士気は下がり、離職を招きかねない」「入院患者や家族が『病院を追い出されるのか』と困惑する」──と、ネガティブな意見が相次ぎました。これらは今年1月28日に、厚生労働省の「療養病床の在り方等に関する検討会」が報告書を公表したことを受けての声です。

 報告書の主な内容は、介護療養病床や25対1医療療養病床の新たな「転換先」について。2017年度末までの2年強の間に、これらの病床を持つ医療機関は「20対1医療療養への移行を目指す」か「病床の一部または全部を新しい施設類型に転換する」という選択を迫られる公算が大きくなりました。

今年中に新制度の大枠が固まる

 2017年度末で、療養病床は2つの節目を迎えます。1つは介護療養病床の廃止です。事の起こりは2005年末の小泉政権下ですから、もう10年以上前のこと。社会保障費適正化を目的に、医療の必要性が低い患者が利用する介護療養病床を他の施設に転換する方針が示され、2011年度末での廃止が一旦は決まりました。

 しかし、転換先として示された「転換老健」(介護療養型老人保健施設)は本来、リハビリテーションなどで状態像を改善して在宅復帰を目指す老健施設とは役割が異なることに加え、報酬面もさほど魅力的ではなかったこと、そして何より「病院から施設になれというのか」という現場の反発などから、2013年時点で約7000床しか転換が進んでいません。そのため民主党政権下の2012年に、介護療養病床の廃止期限を6年間延長して2017年度末とした経緯があります。

 もう1つの節目は、5対1(診療報酬上は25対1)や6対1(同30対1)の配置を認める看護配置標準の経過措置の終了です。これも医療法施行規則上の本則である4対1(同20対1)が標準になりますから現在、療養病棟入院基本料2を算定している25対1医療療養病床(医療療養2)は、看護師を増やすなどして、2017年度末までに医療機関全体で20対1の配置をクリアできないと、2018年度以降は療養病床としての条件を満たせなくなります。

 さらに2016年度診療報酬改定では、医療療養の算定のハードルも上がります。例えば、医療療養2にも「医療区分2・3の患者の割合が50%以上」という条件が課されます。それらを満たせなかった病床をどうするのか。それが今回の検討会案で示された転換先というわけです。今後、医療保険部会や医療部会、介護保険部会などで具体策についての検討が始まります。今年中には制度の大枠が固まり、来年に報酬面を含めた詰めの議論が行われる見通しです。