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「かかりつけ医」の要件にも「在宅医療の提供と24時間対応」

 外来医療で算定する報酬の施設基準に在宅医療の提供が盛り込まれ、在宅医療の提供が必須要件化されるケースも出てきた。

 2014年度改定で、外来医療において「主治医機能」を評価した地域包括診療料・地域包括診療加算が新設された。2016年度改定では、この地域包括診療料・加算の算定を届け出る施設が少ない実態を踏まえ、施設基準が緩和された(図2)。病院では「二次救急告示病院または救急告示病院」の要件が削除され、診療所では「常勤医師3人以上」の要件が「2人以上」に引き下げられた。

図2 地域包括診療料・加算の施設基準の見直し
図2 地域包括診療料・加算の施設基準の見直し
病院では「二次救急告示病院または救急告示病院」の要件が削除、診療所では「常勤医師3人以上」の要件が「2人以上」に引き下げられ、届け出のハードルが下がった
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 さらに、認知症を有する患者への主治医機能を評価するため、より点数の高い認知症地域包括診療料・認知症地域包括診療加算が新設された。これらの報酬は、国にとって「届け出のハードルを下げてでも算定してほしい報酬」といえる。

 認知症地域包括診療料・加算や地域包括診療料・加算の施設基準では、在宅医療の提供や、当該患者に対して24時間対応を行うことが要件となっている。国が示した「かかりつけ医」の要件として、在宅医療の提供が最低限求められているといえるのではないだろうか。

 他方、外来医療需要はピークに近づきつつある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」が2015年にまとめた報告書によると、外来医療需要は全国では2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる見通しだ。外来患者数の落ち込みに備えた診療所の生き残り策としても、在宅医療は重要になってくるだろう。

 とはいえ、1人で診療に当たっている診療所開業医が24時間・365日対応を行うのは困難だ。そこで、こうした医師をバックアップするため、在宅医療をメーンに手掛ける大規模な在宅療養支援診療所(在支診)が、診診連携によって夜間や休日の対応を担う動きが出てきた。

 医療法人悠翔会(東京都港区)は、東京都や埼玉県、神奈川県、千葉県で九つの機能強化型在支診を展開する。夜間や休日の電話相談を受けたり緊急往診を行う「当直機能」の拠点は3カ所に集約し、複数の医師で対応に当たっている。この当直機能は、電子カルテによる情報共有が可能であれば法人外の診療所でも利用でき、現在は18診療所が利用している。費用は患者1人・一晩当たり50円だ。「在宅での看取りの対応力が広がる一方で、医師の負担も大きくならず、在宅医療の持続可能性を確保できる」と理事長の佐々木淳氏は話す。こうした仕組みが全国各地で広がれば、1人で診療に当たっている診療所開業医にとっても在宅医療を担うハードルは今より低くなるだろう。

 診療報酬の見直しや先進的な医療機関の取り組みなどにより、在宅医療はゆっくりだが着実に広まりつつある。今後は国民への啓発も進むとみられ、数年後には在宅医療は現在よりも格段に普及しているだろう。高まる患者ニーズに応えるためにも、診療所として生き残るためにも、在宅医療を始めるのに今日より早い日はないと考えるが、いかがだろうか。