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 昨年に引き続き、日経デジタルヘルス編集部では新たな1年を占う10大キーワードを選出しました。以降では、2016年を展望する10のキーワードを、五十音順で順に紹介していきます。

■昨年の企画「編集部が選ぶ、2015年を占う10大キーワード」はこちら

2016年を占う10大キーワード(五十音順)

1)医療の番号制度

 2016年1月、社会保障・税などの行政手続きを効率化するためにマイナンバーの利用が始まる。だが、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会(以下、三師会)は医療分野でのマイナンバー利用に一貫して反対している。患者個人を識別する共通IDの必要性は認めつつも、病歴などの個人情報は厳重に保護されるべきで、他分野とのリンクが可能なマイナンバーを使うべきではないというのが三師会の基本方針である(関連記事)

 そこで三師会では、マイナンバーの代わりに医療分野に限定した共通IDである「医療等ID」を作成し、同時に医療情報を保護対象とする法整備の必要性を提唱している。現状では、医療機関や薬局、地域医療ネットワークなどの組織が別々のIDを用いて患者の病歴や薬の服用歴などの医療情報を管理しているため、同一人物の医療情報をひとまとめにして分析することができなかった。

 医療等IDの実現方法については、厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」や日本医師会の「医療分野等ID導入に関する検討委員会」などで議論が進められている。そこでは、マイナンバー制度のインフラを流用しながら、医療等IDで異なる組織が持つ患者番号などのID同士をひも付けることなどが議論されている(関連記事)。医療等IDの運用は2018年に段階的に始まる計画。2016年は、その実現に向けた議論がますます激しくなりそうだ。

2)遠隔診療

 離れた場所の医師と患者を情報通信機器でつないで行う遠隔診療への注目は、2015年夏を境に急速に高まった。遠隔診療の適用範囲について、より広い解釈を認める旨の通達を厚生労働省が出したからだ(関連記事)。通院に物理的制約のある離島やへき地の患者だけではなく、時間的制約から通院が難しい都市部のビジネスパーソンなども今後、遠隔診療の対象となりそうだ。

 2015年11月には、診療・処方・薬の配送までを遠隔で提供するサービス「ポートメディカル」が登場(関連記事)。同サービスのように、スマートフォンなどカジュアルな機器を使って手軽に利用できる遠隔診療サービスが、2016年も相次ぎ登場するだろう。

 遠隔診療はこれまで、医療現場にとって導入のモチベーションとなる診療報酬(保険点数)が整備されていないことが、普及を阻んできた。ただし最近では通信コストの低減などにより、診療報酬の整備が普及の必須条件ではない、との声も出始めている(関連記事)。制度整備を待つのではなく、いち早く市場に飛び込み、消費者のニーズをつかんだサービスがこの分野の主導権を握る可能性も出てきた。