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5)精密医療

 米国のオバマ大統領が2015年1月、一般教書演説の中で「Precision Medicine」の推進を打ち出した。以降、日本ではその訳語として精密医療という言葉が浸透した。ゲノム情報など患者個々人の生体情報に基づき、副作用が少なく治療効果の大きい精度の高い医療を提供することを指す(関連記事関連記事)。精密医療への期待の背景には、次世代シーケンサーの登場により、ゲノム解析コストが劇的に下がったことなどがある。

 国立がん研究センターは2016年11月、AI(人工知能)の有力ベンチャーであるPreferred Networksなどと組み、「統合的がん医療システム」を開発するプロジェクトに乗り出した(関連記事)。がん患者の臨床情報や、ゲノム/エピゲノム/血液などの網羅的情報、さらには疫学データや文献情報を統合的に解析。がんの複雑なメカニズムを明らかにし、診断や治療、創薬にその知見を応用することで、精密医療を日本に根付かせようというプロジェクトだ。

 精密医療に関して2017年に大きな進展が予想されるのが、リキッドバイオプシー。がんを血液で診断する技術で、超早期発見や適切な治療に役立つと期待されている。統合的がん医療システムのプロジェクトでも開発が進められており、既にAIを用いた解析によって驚くべき成果が得られているという(関連記事)。

6)データヘルス3.0

 特定健康診査(特定健診)および診療報酬明細書(レセプト)などの健康医療情報を使い、健康状態に即した保険事業を行うデータヘルス。2017年、新たなフェーズに入ろうとしている。それが、データヘルス3.0だ。

 ミナケア 代表取締役で医師の山本雄士氏は、次のように整理する。データヘルス1.0は、政府の方針の下、医療費の削減を目的として、特定健診とレセプトデータの支払い情報を見直し始めたフェーズ。データヘルス2.0は、医療の出資者でもある企業が、生産性向上に向けた健康投資をするようになったフェーズである。

 これに対して、データヘルス3.0は、ニーズに即した医療・ヘルスケアサービスの創出・マッチングに向けたデータ活用が始まるフェーズだという(関連記事)。レセプト・健診データや疾患レジストリー、電子カルテのデータなど、いわゆる「リアルワールドデータ」を活用して、治験だけでは分からない治療や医薬品の実効性を検証していくフェーズである。2017年は、リアルワールドデータを活用した新たな医療・ヘルスケアサービスの萌芽が感じられるかもしれない。