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スマホの“皮”と餃子の皮との比較

 前述の機能性と装飾性で比較してみる。これまで紹介してきたように、餃子の皮の場合、具を包み、併せて美味しさや栄養を供するのが機能性、西安の蒸し餃子に見られる多彩な色や造形やデコレーションは装飾性だ。一方、スマホの場合は、筐体が機能性でスマホのケースが装飾性といえる。

 確かに、スマホの筐体では、機能性だけではなくデザイン性も重視される。しかし、多くの場合、ケースで隠されてしまうことを考えると、基本的には機能性を提供するものと捉えていいはずだ。逆に、ケースの中には機能性を追求したものもあるが、多くは見た目を重視したものなので、主体は装飾性を付加するものと考えてもよかろう。

ある食品機器展示会では展示されたさまざまな規格の餃子皮
ある食品機器展示会では展示されたさまざまな規格の餃子皮
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ある電気店におけるスマホケースの商品棚の一部
ある電気店におけるスマホケースの商品棚の一部
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機能性と装飾性から見るスマホの“皮”と餃子の皮
 スマホの“皮”餃子の皮
機能性機能性とデザイン性を兼ねる筐体具を包み、食感と栄養も提供
装飾性多彩な見た目のケースさまざまな色や形とデコレーション

 商品の価値はよく「機能的価値」と「意味的価値」に大別される。機能性は「機能的価値」に当たるが、装飾性は、顧客が商品に対して主観的に意味づけすることによって生まれる価値であるので、意味的な価値と言える。スマホの“皮”も餃子の皮も両方とも「機能的価値」と「意味的価値」を持つ。

 スマホの本体や餃子の具は商品のコアとなる部分で非常に重要だ。しかし、コアではない部分にも価値はあり、例えば、デザインは商品の差別化に大きく貢献する。特に、スマホの場合、機能性によって差別化を図ることが難しくなってきており、ケースの装飾性による差別化や個性化はますます重要になってきている。最近の家電製品も、海外企業やベンチャー企業の参入で、とにかくデザインが大きく変わってきている。例えば、Dysonの扇風機と掃除機などは今まで見たことがないデザインでシェアを拡大している。「機能的価値」の創造には限界があるのかもしれないが、「意味的な価値」の創造には限界がないのかもしれない。