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 前回の「『アフリカの大地を思わせる味』とは」では、味を見える化する味覚センサーの誕生を紹介した。美味しさも測れると思われるかもしれないが、実はそうではない。今回は、味覚センサーの活用例を紹介した上で、なぜ美味しさはまだ測れないのか、美味しさを見える化するためには食の感性とテクノロジーがどのように融合すればよいのかについて考察する。

食品業界で広がった味覚センサー

 味覚センサーは20年ほど前から開発されていたが、初期の導入先は公共の研究機関や大手食品メーカーの研究所がほとんどだった。味覚センサーのデータを商談の場など取引先に提示し、ビジネスに活用するケースはごく最近のこと。食品や調味料メーカーがその先陣を切った。実際に味覚センサーを使っている企業の担当者によると、味覚センサーによる味の可視化は、商品の開発段階から製造、販売、提供に至るまで、「味の方向性」を示す羅針盤として役立つ。食品メーカーでは、日本に限らず海外展開においても味覚センサーの導入が進んでいる。

①「味の開発」
 開発者が自分では美味しいと思って作ったものでも、消費者に受け入れられるとは限らない。地域差、年齢差、価格差、トレンドなど、多様な消費者のニーズを分析した上での味の開発が必要だ。例えば、コーヒーメーカーとして、カフェや喫茶店向けのコーヒー豆を開発するとき、味覚センサーを使えば、さまざまなカフェや喫茶店のホットコーヒーの味をマップ化できる。そこに価格帯や売れ行きを加味すれば、どのようなコーヒー豆を開発すべきかのヒントにできる。さらに、コーヒー豆の開発後は、顧客となるカフェや喫茶店のライバル店や著名店との味の差を定量的に示すマップを作成する。そうしたマップを顧客に提示することで、ライバル店や著名店とどう差別化できるのか的確に示すことができる。

あるコーヒーメーカが作った味のマップ
あるコーヒーメーカが作った味のマップ
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