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機械が自律的に人を安全側に誘導する

 その考え方とは「協調安全」、すなわち「人、モノ、環境が協調しながら安全を構築する」というものである。これを向殿氏は「Safety 2.0」と呼ぶ。これによってSafety 1.0のときには“空白地帯”となっていた人と機械の「共存領域」を活用できるほか、人の領域や機械の領域におけるリスクもさらに低減できるという。

機械安全は「Safety 1.0」から「Safety 2.0」に移行しようとしている
機械安全は「Safety 1.0」から「Safety 2.0」に移行しようとしている
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 さらに、Safety 2.0は従来にない新たな価値を創出できる可能性も秘めている。その1つが、冒頭に挙げた「止めない安全」である。前述の通り、Safety 1.0では「停止の原則」に基づいて、人が稼働している機械に近づいた場合には機械を停止していた(止める安全)。これは、機械の状態が「稼働」「停止」の2通りしかないので、「2値の安全」とも言い換えられる。しかし、Safety 2.0では人の能力や熟練度などに応じて、「熟練度が高い人の場合は完全には止めずに速度を落とす」「熟練度が低い人の場合は機械を止める」といった具合に、より柔軟な制御が可能になる(止めない安全)。これは、機械の取り得る状態が多岐にわたるので、「多値の安全」といえる。このように、「止める安全」から「止めない安全」に移行することによって、「フレキシブルな生産」「生産性の向上」「人と機械の協業」を実現できるのだ。

 そのほか、機械やセンサーがインターネットにつながることで、安全(不安全)を見える化できることもSafety 2.0の利点として挙げられる。具体的には、人の体調や部品の劣化状況を常時監視することによって、「人に優しい経営や安全への的確な投資が可能になる」(向殿氏)。さらに、この考え方を発展させれば、人や環境に問題が生じたとき、その情報に基づいて機械が自律的に人を安全側に誘導する「コラボレーション・フェイルセーフ」という新たな価値も提供できるという。