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注文を予測し、あらかじめ配送する

 [1]の部材選定について、坂口氏が先鋭的な事例として紹介したのは、米国の「MFG.com」というWebサービスである。MFG.comはいわばBtoB領域のマッチングサイトであり、造りたい物の仕様書や図面をアップロードすると、MFG.comに登録している世界中の企業が見積もりを出してくる。極端にいえば、世界中の企業をサプライヤーとして活用できるのだ。同氏によれば、調達・購買の分野では2010年ごろから「グローバルソーシング(世界最適調達)」の流れが加速しており、MFG.comはある意味でその究極の姿だという。

 その他にも、例えば米Local Motors社やイタリアOSVehicle社は、一般消費者が自分の好きなクルマを造れるようにするためのオープンソースプラットフォームを開発している。このようにサプライチェーンのオープン化があらゆるところで進んでおり、ユーザーとメーカーの境目がなくなりつつあるのだ。

 [2]の受注について坂口氏は、米Nike社や米Ford Motor社などこれまで大量生産品を得意としていた大手企業がカスタマイズ品の受注に力を注いでいることに言及した。その狙いは、顧客に提供する価値の最大化だという。「さまざまな場面で『戦略』という言葉を耳にするが、それが意味するのは、いかにして高く売ってもうけるのかということに尽きるのではないか」(坂口氏)。

 [3]の運搬については、米Amazon.com社の「Anticipatory Shipping」と呼ばれる試験的な取り組みが興味深いという。Anticipatory Shippingは「予測配送」とも呼ばれており、端的にいえば、実際の注文が発生する前に、ビッグデータ分析などによって注文を予測し、工場や倉庫から荷物を配送しておくことだ。

 大量生産品ならば中間在庫(バッファー)を各所に設けることで配送時間を短縮できるが、カスタマイズ品ではこの手法が使えない。大量生産品と同等の短時間配送をカスタマイズ品でも実現するには、予測配送のような手法が欠かせないと坂口氏は指摘する。