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渡る世間に鬼はなし

 よく、人の噂(うわさ)も七十五日と言う。そうなのだ。それと同じで他人の失敗など、世間の人は七十五日どころか、ヘタをすれば数日で忘れてしまう。それが現実なのである。

 それは、芸能界のゴシップやスキャンダルを見ればわかる。事件が起きたその瞬間は、週刊誌がそろってその芸能人を叩きまくり、その人の人生は終わったと書き立てるが、何のことはない。それこそ数日すれば次のネタを嗅ぎまわるのである。

 書かれる側の芸能人はと言えば、食欲もなくなり激ヤセし、すぐにでも死んでしまうようなヤツレ具合。こっちはこっちでこの世の終わりとばかりに死にそうな声で呻(うめ)くのであるが、どこまで本当で、どこまでが演技なのか、それも分からない。

 確かに、芸能人は芸をするのが仕事だが、スキャンダルへの対応も演技であるなら、これほどの才能はない。書く方も書かれる方もどっちもどっち。太々しいとはこのことか。

 ことほど左様に、よく見れば、渡る世間に鬼はなし。一度や二度の失敗で、誰も死なないどころか、それを楽しむ人が大勢いるのである。

 だから、失敗して悩み苦しむより、あはは、やっちゃったとばかりに、舌を出して笑っておしまいにしようではないか。

 なぜ、人間は良いことも悪いこともすぐに忘れることができるのか。それはきっと神様の好意ではないかと思う。

 私に信心はない。が、神様はいると思う。そして、その神様とは、きっと良い人に違いない。神様に向かって人と言うなんて罰が当たるかもしれないが、人に例えれば、きっと心優しい良いおじさん(おばさんも?)なのだ。人間のすることは何でも許してくれて、絶対にお咎め(おとがめ)無しなのだ。

 だから、優しい神様は、いつまでも人間がクヨクヨしたりメソメソしたりするのを快く思うことはない。見ている神様はイヤなことが嫌いなので、すぐに忘れるようにしてくれる。

 まして、いくら失敗したとて、命を取ろうなんて神様は思わない。とにかく、神様は前向きで、良い方向に導くことだけを考えているのである。