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 文武両道と言うときがある。学問と武芸、今で言うなら勉強とスポーツの両方に優れている人のことだが、最近ではメンタルとフィジカルの両方が強い人を言うこともあるようだ。

 文とは言葉のあや(模様やニュアンス)であり飾ることや巧みなこと、すなわち文化芸術的なことである。そして武とはたけだけしい、つまり勇ましく強そうなことである。

 また、文と武は内面と外見という分け方もできると思う。内面的に確立した考え方を持っているのと、外見で立派さが分かる、その二つの見方があるのだ。

 あるいは、ソフトとハードと言うこともできる。例えばICT*1の世界で、コンテンツなどの内容と情報機器などのハード両方が優れている場合に、私としては文武両道と言いたいのである。

*1 ICT(information communication technology): 情報通信技術のこと。

 このように、文武両道の意味にも色々あるが、タレントさんにも文武両道があるように思う。先日、お笑い芸人をしながら芥川賞作家になった人、まさに文武両道ではないだろうか。舞台に立ちながら純文学を志向し、その評価が芥川賞とは、まさに文武ともに秀でた芸達者である。

 また企業においては、売り上げや経常利益などの経済性と、いかに社会に貢献したかという社会性の両方が評価された場合にも、文武両道企業と言ってやりたいのである。自社だけ儲かればよいのではなく、世の中の為に役に立つことをしながら、その上で立派に経営がなされている企業は賞賛に値する。

 残念ながら、ただ見せかけの売り上げを計上してコンプライアンスなどどこ吹く風、そんな会社が増えているのは、文武の文が著しく欠けている証左ではあるまいか。

 政治の世界にも、文武があるように思う。どこぞの政党が、党勢を伸ばしたいがため、ただ票が欲しいだけのことで、今まで敵対してきた政党と文字通りの徒党を組もうとしている姿を見ると、文武の両方とも、大事なスジが歪んでしまったのではあるまいか。

 国や歴史に、文武両道を見ることもある。どことは言わないが、領土を拡大したいばかりに近隣諸国の静止も聞かず自己主張だけを繰り返すあの国は、どう見ても「武力」だけを頼りにしているとしか見えないし、大国の責任も義務も全く理解していないと言うしかない。

 対極に、労働時間を短縮して雇用枠を拡大し、結果、生産性と利益の両方を向上させている知的な欧州の国(オランダ)もある。

 通常の8時間労働を6時間にしてワークシェアを計り、併せて個々の能力を十分に引き出すことに成功したのである。結果、雇用を増やしただけでなく、生産性も上がり、おまけに労働災害も激減し、まさに三方よしとなったのである。