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違法性があるかどうかはまた別の視点

 「東芝のやったことは違法ではないのか?」と質問されることもある。違法性というのは、「不正」や「粉飾」とはまた別の視点の問題だ。

 まず問題となるのは、「違法性」の意味だ。それを広く捉えて、「ルールに抵触すること」と解釈するならば、不適切会計はすべて違法ということになる。意図があろうとなかろうと、その目的が何であろうと、「何らかの誤り」があるということは、何らかのルールに違反していることを意味するからだ。

 会計に関していえば、違法性には大きく2つの種類がある。

 1つは、会計基準に違反することだ。会計基準は「法律」ではないが、一定の強制力を持つ明文規定化されたルールという意味では、法律に準ずると考えていいだろう。そこで認められていない方法で会計処理をすれば違法となる。本稿ではこれを「第1の違法性」と呼ぶことにしょう。

 例えば、減価償却が認められていない「土地」という資産に対して減価償却を行うような場合が、第1の違法性に相当する。認められないことをやっているのだから、明らかに違法だ。この違法性は、明文で規定されたルールに対する準拠性違反なので、単純明快である。

 2つ目は、適用している会計基準に誤りはないが、それが企業の経済的実態を表していない場合だ。監査において問題になるのは、ほとんどがこちらだ。企業の経済的実態を表していない財務諸表を意図的に作成すれば、虚偽記載という形で違法となる。本稿ではこれを「第2の違法性」と呼ぶことにしよう。

 例えば、商品を販売した事実がないのに、出荷伝票を捏(ねつ)造して売上を計上するような場合が第2の違法性に相当する。事実に反した会計処理を行っているので、企業の経済的実態を表していないわけだ。

 第2の違法性に該当するかどうかの判断は、第1の違法性ほど単純ではない。「経済的実態」をどう捉えるかは、企業及び監査する側双方の判断に拠るところが大きいからだ。