SEMICON Japanは今年、第40回開催という節目を迎えます。1977年に晴海の東京国際見本市会場で誕生したSEMICON Japanは、まさに日本の半導体産業、装置・材料産業と歩調を合わせて目覚ましい成長を遂げました。しかし、ご承知のように日本の半導体企業は21世紀になると、売上高の世界順位を下げ始めました。2008年のリーマンショックを境に、SEMICON Japanもそれ以前に比べると開催規模を縮小することになりました。
私を含め、業界の多くの方々が、日本半導体の新たな形での活性化を目指し、様々な努力を重ねてきました。しかし最近では「かつての日本半導体産業、かつてのSEMICON Japanを夢見ることは、過去にとらわれた思考回路だ」と考えるようになりました。その拘束から脱却した新しいパラダイムを通したビジョンこそが必要なのだと。
かつての日本半導体は、DRAMをテクノロジードライバーとして微細化競争をリードし、世界の市場を席巻しました。こうした最先端テクノロジーの大量生産は、NANDフラッシュを除けば日本企業の手を離れ、現在では韓国、台湾がその中心になっています。
しかし、半導体業界の進化の方向は一本道ではありません。企業あるいは産業の使命は、一義的には株主、従業員の利益増大ですが、著名な経営学者であるピーター・ドラッカーは、企業の目的は利益の追求でなく顧客の創造、つまり、社会、コミュニティ、個人の要求に応えることだと述べています。健全な企業の事業は、何らかのかたちで人々の幸福の増大に役立っており、それによって利益を継続して追及することが可能になるのです。