離島にある600mの滑走路も確保

 パートナーの募集と並行して、実際の解体・解析を行う場所も探索した。そうした中、リアル開発会議アドバイザーで開発の鉄人こと、多喜義彦氏からの推薦で、浮上してきたのが沖縄県だ。

 多喜氏が沖縄県を推薦した理由は2つある。自らが講師を務めるセミナー「ビジネスプロデューサー養成講座」を受講した”仲間”が多数集まっていることが一つ。もう一つは、沖縄自体が新たな産業を欲していると、にらんだからだ。

 沖縄県は観光を中心としたサービス業は盛んだが、その他の産業は育っていない。大きなメーカーの拠点がないため、製造業は発展しにくい。沖縄県としては、産業の裾野を広げるため、別の切り口の事業が欲しい。こうした事情にピタリとはまるのが、製品を解体し、分析するという、リバースエンジニアリング業である。大きな場所や設備は不要で、知的集約型であるため、沖縄県の事情に合致しているのではないかと考えた。

 さらに、リアル解体ラボ側にとっても沖縄でやるメリットがある。沖縄は、東京や名古屋、大阪、福岡といった日本の拠点のみならず、中国、台湾、韓国など、電動車両の開発の重要拠点から等距離にあり、こうした地域との情報交流や物流、人的交流を促しやすい。

 この提案に対して沖縄県側の反応は早かった。内閣府沖縄総合事務局総務部の協力もあり、地元の有志は即座に賛意を示してくれたのだ。トントン拍子で話が進み、実車試験や解体作業を沖縄で進めることとなった。

 結果として沖縄という場所を選んだことは幸運だった。沖縄本島からフェリーで1時間弱行ったところにある伊是名島で、600mの滑走路を一般に貸し出していた。ここなら、公道ではできない加速試験や自動ブレーキ試験を思う存分行える。

 公道での試験は、沖縄本島で選定した。高速道路、一般道などを織り交ぜた約100kmのコースで、電費測定やレーンキープ、前車追従などの試験を行う。解体場所も、沖縄本島で確保した。

給電施設を中心に全周約100kmの公道コースを沖縄本島で定めた
給電施設を中心に全周約100kmの公道コースを沖縄本島で定めた