心臓病患者のリハビリコンプライアンスを向上
Day-by-Dayは、Vida Health同様、一人ひとりのニーズに合ったパーソナルヘルスコーチに常にアクセスすることができ、服薬リマインドが表示され、さらにビデオ、関連記事、食品情報などのデジタル教材も利用することができます。
通常のVida Healthを使用するためには、月額45米ドルもしくは年間249米ドルを支払う必要がありますが、Day-by-Dayに関しては、アストラゼネカが参加病院や健康機関から費用を徴収しているため、患者は無料でアプリを利用することができます。
このように製薬会社が金銭面を工面し、治療の一環としてモバイルヘルスを活用することは、これからの新しい医療の在り方を模索する上でも、大きな意義があると考えています。
そもそも、急性心筋梗塞の発作後は、2回目の発作が生じる危険性が有意に高まります。ですから、心臓病を患った患者は、食生活、喫煙習慣、運動習慣、睡眠習慣などの生活習慣を整えると同時に、きちんと服薬を継続することが求められます。
その後、Day-by-Dayはデューク大学にて試用され、近今、心臓リハビリに取り組む患者にポジティブに働く可能性があるという研究結果が発表されました。
日本としても参考事例に
今回デューク臨床研究所が行った臨床研究は、4週間の調査。被験者21人(患者10人、介護者11人)が、1週間に平均1回のビデオチャットを行い、5回アプリを開きました。さらに患者は介護者に平均24回以上メッセージを送りました。
通常は、心臓病患者のうち25%しか心臓リハビリに参加したがらず、治療コンプライアンスが低いことがうかがえます。しかし、今回は被験者の80%が心臓リハビリへの参加を表明するという結果になり、治療コンプライアンスが向上したといえるでしょう。また、患者の身体活動を有意に増加させる可能性があるという研究結果も発表されています。
もちろん、今回の研究はサンプルの規模が限定的であるため、アプリが疾患の治療に効果的かどうかを証明するには、より大規模な臨床試験が必要であることは言うまでもありません
しかし、このケースのようにモバイルヘルス企業が製薬会社とタッグを組み、しっかりとした臨床研究の中でポジティブな研究結果を出しているという事実は、これからのモバイルヘルス業界が大きく飛躍するための、新しい取り組みの一つだと感じています。日本でも製薬企業がデジタルヘルスとのアライアンスを進めている動きが最近目立ち始めましたが、米国でのこうした事例は参考になるのではないでしょうか。