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 昨今、抗体医薬の売り上げは医薬品全体のかなりの部分を占めるまでに成長してきました。抗体医薬とは、生体内で病原体やがん細胞などの異常な細胞を認識して殺滅することにより、生体を感染、疾患から保護する役目を有する免疫系の主役である「抗体」を主成分とした医薬品を指します。

 特許庁は「平成26年度特許出願技術動向調査」において、抗体医薬に関する特許出願動向や研究開発動向を調査しました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。抗体医薬の特許出願件数は、トップの米国を欧州と日本が追う形にあるなど、その実態を明らかにしました。同調査の主要部分を本稿で紹介します。

応用面に重きを置いて調査

 抗体医薬は標的となる抗原に対して特異的に結合するため、副作用の少ない効果的な治療薬として期待されており、これまでに日米欧で50種以上の抗体医薬が承認されています。また、ヒトのみならず動物向けにも、様々な疾患を対象に「抗体医薬製品」が開発・販売されており、最近では、特許切れを迎えた抗体医薬に対するバイオシミラーも登場するなど、開発が活発化しています。

バイオシミラー:特許期間が満了したバイオ医薬品の後続品のこと。先行のバイオ医薬品と同一の物質であるわけではない点において、ジェネリック医薬品と異なる。

 本調査では、抗体医薬に関する技術を、新規な抗体医薬を探索し、その特性を最適化し、製剤化し、医薬品として製造するまでの過程で必要な「要素技術」と、最終的に製品として上市されることを目指した「応用産業」に区分しました。要素技術は、「抗体探索技術」、「新規な抗体分子」、「抗体最適化技術」、「製剤技術」、「製造技術」から構成されます。一方、応用産業は、抗体医薬製品の、「がん」、「心臓血管疾患」などの疾患への応用技術から成ります。

 図1の技術俯瞰図に、これらの「要素技術」、「応用産業」、および抗体医薬に関連するその他の技術との関係を示します。なお、本調査においては、応用面に重きを置き、抗体を医薬として製品化するのに必要な様々な技術の中でも製品に近い技術、およびそのような技術が活用された抗体製品を抗体医薬として定義し、基礎的な色合いが強い「抗体探索技術」は、今回の調査対象から除外しました。

図1 抗体医薬の技術俯瞰図
図1 抗体医薬の技術俯瞰図
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