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改革を“やっています”感

 間接業務の改革が中心になってしまう2つめの理由は、「直接業務改革のハードルの高さ」である。間接業務の改革は分かりやすいのが特徴だが、設計そのもののやり方にメスを入れたり、設計ナレッジの棚卸しが絡んできたりする直接業務の改革は、「面倒で、大変で、手間がかかるし、現場を巻き込むのも時間がかかるし、設計部長が乗り気にならないと始まらないし、社長への上申が難しいし、改革の進捗や途中報告なども難しそうだし…」と、とにかく大変である。

 筆者はこの直接業務の改革を手掛けているが、設計現場からは、やれない理由しか上がってこない。「案件で忙しくて時間がない」「人がいない」「意義は分かるが今は難しい」といった具合に、設計標準化以上に総論賛成・各論“大大大”反対となる。そんな状況なので、情報システム部門が主導で動いた場合は、避けたくなる理由も分からなくはない。

 間接業務の改革そのものに反対しているわけではない。しかし、分かりやすくて、やりやすくて、課題などもグラフ化しやすくて社長報告しやすい間接業務中心の改革を「改革ごっこ」と呼んでいる。社長から改革をしろといわれている。でも、本質的に真に強くなる直接業務の改革は大変だ。だったら、やりやすい間接業務の改革を推進しよう。

 ベンダーも間接業務部分の提案はしてくれる。その提案に乗っかっておこう。改革を“やっています”感を出すには、間接業務がもってこいなのだ。

 しかし、筆者は大声で叫びたい。「改革の本丸は、直接業務だ! もうそろそろやめようよ、やりやすい改革ごっこは!」と。ベテランも本当にいなくなってしまうし、どんどん競争力が奪われていく。ある程度、企業に体力があるときでないと改革はできない。弱くなってからでは、改革する体力すらなくなってしまう。簡単なことを実行しても競争力にならないし、この21世紀の時代に、簡単な取り組みなど残っていない。大変なことをやってこそ競争力になるのだ。

 大変だと思うが、改革の本丸である直接業務に手を付ければ、周りの付帯業務(間接業務)は玉突きで整備が進む。ぜひ、大変で面倒だけれども設計の直接業務の改革を検討してもらいたい。

 ちなみに、間接業務の改革だと、業務フローを書いて、問題点を整理して、改革テーマを推進する。その中で、「きちんと帳票残そう」「チェックリストを強化しよう」「先行的に後工程に情報を流してあげよう」などと、どうしても管理を強化したり、作業を増やしたりする傾向になってしまう。管理強化は設計を弱くする。トヨタ自動車の自工程完結のように、管理をどのようにしたらなくせるかの議論をしていくべきである。